2007年3月22日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の前進で、自治体の仕事
投げ捨てる「オール与党」に審判を
埼玉演説会 志位委員長の訴えから(要旨)
日本共産党の志位和夫委員長が二十日、さいたま市内でおこなった演説のうち、地方政治に関する部分(要旨)を紹介します。
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埼玉県は、民主党出身の上田清司知事ですが、福祉の切り捨てでも、憲法改悪を公言している点でも、歴史をゆがめる教科書を押し付けようとした点でも、自民党以上に自民党的な県政です。それを支えているのが自民、公明、民主の「オール与党」。さいたま市政も自公民「オール与党」。ズバリ「オール与党」か日本共産党かが争点です。
「オール与党」のもとで、二つの大問題がひきおこされていることを訴えたい。
福祉と暮らしをまもるという自治体の本来の仕事を投げ捨て
第一は、福祉と暮らしをまもる自治体本来の仕事が投げ捨てられていることです。
庶民大増税
たとえば、庶民大増税の問題です。所得税、住民税の定率減税の半減・廃止と、それに伴う負担増で、さいたま市では、年金月額二十万円のお年寄りの場合、負担が十一万八千円(〇四年)から二十七万二千円(〇八年)にはねあがります。
そのときに自公民「オール与党」は、県民税の増税条例にそろって賛成し、増税中止を国に求める請願を二度も不採択としました。さいたま市では、介護保険料の基準額を23%、下水道料金も平均30%も引き上げ、負担増の追い打ちまでかけたのです。
国の負担増の大波から住民をまもってこそ自治体です(「そうだ」の声)。自公民の「庶民負担増三人組」に審判をくだそうではありませんか。(拍手)
「埼玉県行財政改革プログラム」
上田知事は〇五年二月、「埼玉県行財政改革プログラム」をつくりました。「県単独上乗せ補助金の見直し」「負担能力に応じた補助対象の見直し」などとして、暮らしをまもる独自施策をやめていく計画です。六十八―六十九歳の老人医療費助成制度を廃止、県立高校授業料の減免制度も改悪、私学助成も全国最低水準まで後退です。
冷たさの象徴として、重度心身障害者手当の打ち切り問題を告発したい。在宅の重度障害者に月五千円の手当を支給する制度でしたが、〇六年一月から所得制限を導入したのです。約二万人が制度から締め出されました。
さらに「オール与党」は、重度心身障害者への医療費助成制度に所得制限を導入しようとねらっています。民主党県議は、所得制限を設けないのは「差別だ」とさえ主張しました。
障害者福祉は「施し」ではありません。障害を持つ人も持たない人も平等に人間らしい営みをおくるための当然の権利です(大きな拍手)。それを「差別」という人に、およそ政治に携わる資格はありません。(「そうだ」の声、拍手)
「オール与党」にないのはお金ではありません。「福祉の心」です。共産党をのばして埼玉県政に「福祉の心」をとりもどそうではありませんか。(大きな拍手)
ムダな巨大開発をすすめ、大企業誘致のために札束のばらまき
第二の問題は、ムダな巨大開発をすすめ、さらに大企業に札束をばらまくという問題です。
八ツ場ダム
八ツ場(やんば)ダムが問題になっています。県全体で最大一日五十万トンも過大な水需要予測をたてて、むりやりつくっています。一方、事業費は水ぶくれで、当初計画の二倍に膨れ上がり、県負担は七百億円になりました。需要予測は水増し、かかるお金は水ぶくれ(笑い)――こんなデタラメな計画はきっぱりやめさせようではありませんか。(拍手)
大企業誘致のための札束ばらまき
その上、大企業を誘致するために札束をばらまくムダづかいが始まろうとしています。日産系の自動車部品メーカー「カルソニックカンセイ」がさいたま市に移転する計画にあわせ、〇六年四月、県は限度額十億円の「企業立地助成制度」をつくりました。県が十億円、さいたま市が十億円で、あわせて二十億円の補助金がカルソニック一社に交付されます。ひどい話です。
いったんこの道をすすんだら、もっとひどくなる。首都圏の他県がどうなっているか。たとえば神奈川県の「インベスト神奈川」事業――限度額五十億円から八十億円の誘致補助金を出すというものです。日産自動車一社に百六十九億円出していますが、雇用は逆に減っているのです。千葉県でも同様の例があります。
これを始めたら、血税を無制限に大企業にばらまく最悪の制度になります。そんなカネがあったら福祉に使え、教育に使え、暮らしに使えと強く訴えたい。(拍手)
県民の運動とともに築いた日本共産党議員団の五大実績
では日本共産党はどうか。私は、県民の運動と日本共産党議員団のがんばりが共同であげた五大実績を紹介したい。
子どものための実績
第一は、子どものための実績です。子どもの医療費助成を一歩一歩前進させ、来年一月から入院とともに通院も小学校就学前まで充実させました。(拍手)
県民の運動と議員団のがんばりで、二〇〇二年度からは少人数学級がスタートしました。小学校一・二年生で三十五人学級、中学校一年生で三十八人学級です。本格的な三十人学級に前進していくために共産党をのばしてください。(拍手)
お年寄りのための実績
第二はお年寄りのための実績です。一万五千人にのぼる特別養護老人ホームの待機者解消のため、共産党は論戦をしました。その中で、特養ホーム建設の際、一人あたり三百万円の建設費補助を出す独自制度をつくらせました。(拍手)
障害者のための実績
第三の実績は障害者のための実績です。障害者「自立支援」法による負担を軽減せよとの運動と論戦、他会派への働きかけが実り、さいたま市では今年一月から障害者への一割定率負担を5%に軽減する、障害者施設への独自補助が実現しました。(拍手)
議会をまともにするための実績
第四の成果は、議会をまともにするための実績です。自民党と無所属の県議六人が、視察先のタイなどで「買春」を疑わせるような夜遊びをしていた事実がテレビで放映され、怒りが殺到しました。それでも自民党は疑惑議員を要職に据えています。公明党も関係議員の辞職を求める請願に棄権という情けない姿です。日本共産党は一貫して追及し、とうとう海外視察の中止に追い込みました。(拍手)
歴史をゆがめる歴史教科書を許さなかった実績
第五は、歴史をゆがめる歴史教科書を許さなかった実績です。上田知事は、ばりばりの「靖国」派で、侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の元副会長を県教育委員に選任。自民、民主など七十二人の県議が「教科書を考える議員連盟」をつくり、上田知事と「オール与党」の二人三脚で、子どもたちに侵略戦争、植民地支配を正当化する歴史をゆがめる教科書を押し付けようとしました。県議会での共産党の論戦と県民の運動が結びついて、この策動を打ち破りました。「つくる会」の歴史教科書を採用した学校は、埼玉県内の全地区で一校もありません。(大きな拍手)
この力をさらに大きくするため、県議を八人以上に前進させ、政令市では十一人、後半戦の全員勝利に向けて力を尽くし、埼玉県から勝利のうねりを起こそうではありませんか。(拍手)