2007年3月23日(金)「しんぶん赤旗」
「密告義務」22万社に
ゲートキーパー法案 吉井議員が指摘
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与党が今月中にも成立を狙う「犯罪による収益の移転防止に関する法律案(通称=ゲートキーパー法案)」で、「犯罪の疑いのある取引」を関係省庁に通報する「密告の義務」を負わせられる企業が二十二万社にものぼることが二十二日、分かりました。
日本共産党の吉井英勝議員が衆院内閣委員会で明らかにしました。吉井氏は、これらの企業に対し警察が裁判所の捜査令状なしに立ち入り調査ができるなど、同法案の問題点を指摘し、反対しました。
同法案は、マネーロンダリング(資金清浄)防止対策として、保険会社や貴金属業者など四十三業種を「特定事業者」に指定。このうち弁護士など五業種について「密告義務」を除外したものの、三十八業種二十二万社に対して「顧客の本人確認」「取引記録の保存」「犯罪の疑いのある取引」を関係省庁に通報するなどの義務を負わせます。通報をうけた省庁は情報を国家公安委員会と警察庁に通知。マネーロンダリング対策に名を借りた警察への「密告制度」をつくるものです。
吉井氏は、マネーロンダリング対策を国際的に連携して行う場合、「当該国の人権を過剰に制約することがあってはならず、日本国憲法に合致していることが前提になるのは当然」と強調。同法案は「『疑わしい取引』イコール『犯罪』ではないのに、罰則をもって届け出を強制する異常な法案。しかも令状なしに警察が強制捜査できるなど憲法の枠に穴をあける重大な問題がある」と法案の撤回を主張しました。