2007年3月24日(土)「しんぶん赤旗」
核のゴミ処理 どう考える?
〈問い〉 高知県東洋町が核のゴミ問題で町を二分する大騒動となっています。利用すれば必ずゴミは出ます。最終処分は日本のどこかで行わなければならないと思いますが、共産党はどう考えているのでしょうか?(高知・一読者)
〈答え〉 高レベル放射性廃棄物は、原発で燃やした核燃料(使用済燃料)からプルトニウムなどを取り出した後の廃棄物で、放射能が非常に強く危険なものです。これを地下300メートル以深の地層に埋設するのが政府の処分場計画です。
しかし、高レベル放射性廃棄物には、数千年から数百万年という長寿命の放射性物質も含まれ、ウラン鉱石並みの放射能レベルになるのに数万年もかかります。このような長期にわたる安全性には、科学的にも技術的にも裏づけはありません。
安全に処分できる安定した地層が地震列島日本にあるのかは専門家からも疑問視されています。処分用の容器の耐用年数は千年です。放射性物質が地下水や地殻変動を通じて人間の生活環境に漏出する可能性は否定できません。
高レベル放射性廃棄物は、信頼できる処分方法が確立されるまで、厳格な管理のもとで安全に保管すべきです。同時に、安全な処分の見通しがないままいたずらに高レベル放射性廃棄物を増やす再処理工場(青森県六ケ所村)の運転計画は中止すべきです。
使用済燃料も高レベル放射性廃棄物と同様に危険なものであり、各原発の施設内で安全に保管すべきです。
政府は、処分場立地にむけて、立地調査に応ずれば年間約2億円という交付金で候補地を募集してきました。いくつかの自治体で動きがあったものの住民の反対などで正式応募には至らず、1月の高知県東洋町が初の応募でした。
政府は、第2、第3の応募を誘導するため、来年度から交付金を10億円に引き上げる予定です。一方で自治体を財政難に追い込み、他方で札束と引き換えに住民の安全を犠牲にすることを迫る、許しがたい施策です。
東洋町では、町民の6割以上の反対を無視した町長の独断応募に対して、議会が町長の辞職勧告を決議しました。町民は「高レベル放射性廃棄物の東洋町への持ち込みに反対する町民決起集会」を開き、高レベル放射性廃棄物の持ち込みと調査を拒否し、「金でほっぺたをたたく」手法を批判する決議を採択しました。高知県知事も、東洋町に隣接する徳島県知事も、調査を実施しないよう政府に申し入れています。(剛)
〔2007・3・24(土)〕