2007年3月25日(日)「しんぶん赤旗」
主張
米軍再編特措法案
基地国家の異常広げるだけだ
米軍再編特別措置法案の審議が衆議院ではじまりました。
法案は、政府系金融機関である国際協力銀行の資金で沖縄から海兵隊の一部が移転するグアム基地に米軍家族住宅や関連施設を建設すること、在日米軍基地の再編を受け入れる市町村に実施段階に応じて「再編交付金」を出すことや地域振興の補助を盛り込んでいます。二〇一七年三月までの十年間の時限立法です。
米軍再編は基地被害をなくすどころか、痛みを広げるものです。基地を温存・強化するために国民の血税を投入するなど言語道断です。
戦争協力の押し付け
昨年五月に日米両政府が合意した再編のためのロードマップは、沖縄の新基地建設、沖縄海兵隊の一部グアム移転、横田基地(東京都)の日米共同使用、座間基地(神奈川県)の新戦闘司令部の創設、岩国基地(山口県)への米空母艦載機部隊の移駐などを明記しました。米軍が世界各地に迅速展開し、侵略戦争を効果的に進めるための計画です。
米軍再編のために日本国民の巨額の税金を投入するのは、アメリカの戦争を助け応援することにほかなりません。戦争を禁止した憲法九条に反することは明白です。
特措法は基地の「負担軽減」を血税投入の理由にしていますが、これはごまかしです。沖縄の新基地計画(名護市)は垂直離着陸機オスプレイも使用可能にするうえに、普天間基地(宜野湾市)にはない岸壁を持つことによって一度に一千人もの部隊を運ぶ高速輸送艦も使用可能となる最新鋭基地をつくるものです。爆音被害や墜落の危険が広がります。
嘉手納基地の戦闘機の一部が本土に短期間移転するといっても、戦闘機による深夜・早朝の爆音被害はなくなるどころか、騒音被害は全国に広がります。米空母艦載機部隊などの大挙移転で岩国基地のある岩国市民の苦痛と危険が増すのはあきらかです。
米軍再編は早く基地をなくしたいという国民の願いに反します。座間市が市の総合計画で「基地の全面返還」を基本にしているように、基地のある自治体の多くが基地返還をめざしています。米軍再編はこの願いを断ち切るものでしかありません。
米軍再編に自治体・住民が反対するのは当然です。それを札束でおさえこむのが米軍再編特措法案です。
米軍再編を受け入れれば再編の進み具合に応じて交付金をだすという手口は卑劣です。交付金決定の客観的基準すらありません。防衛大臣まかせです。地域振興も防衛大臣が決めます。まるで軍事優先ですべてを決めた戦前の政治の復活です。
グアム基地内に米軍家族向け住宅をつくってやるのも他国にはない日本だけの異常です。麻生外相も日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員の質問に、世界に事例がないことを認めました(二十三日衆院本会議)。沖縄県民の「負担軽減」をだしに使って、アメリカ領土内の米軍基地建設にまで血税を投入するのは許せません。
米軍基地縮小・撤去へ
米軍基地がある限り苦痛はなくなりません。住民の安全と平穏な生活のためには米軍再編を許さず、米軍基地の縮小・撤去をめざす以外に道はありません。
いっせい地方選挙は米軍再編のおしつけをはねかえし、基地も戦争もない日本を目指す国民の意思を示すうえでも絶好の機会です。日本共産党は憲法九条を守り平和な日本をめざしています。平和を願う皆さんの願いをお寄せください。
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