2007年3月25日(日)「しんぶん赤旗」
在日米軍再編促進法案
赤嶺議員の質問(要旨)
日本共産党の赤嶺政賢議員が二十三日の衆院本会議でおこなった在日米軍再編促進法案についての質問(要旨)は次の通りです。
そもそも、アメリカがすすめている「米軍再編」は、先制攻撃戦略に同盟国を深く組み込むものであり、在日米軍と自衛隊の再編もその一環にほかなりません。イラクの泥沼化によって、その戦略の破綻(はたん)は明白です。
再編は、座間、横田、横須賀とあわせ、陸海空すべてで米軍と自衛隊の司令部を一体化するものです。岩国は、極東最大級の基地にされ、全国で日米共同訓練をあらゆるレベルで日常的に行うものです。
沖縄では、名護市辺野古に、滑走路を二本もつ新基地がつくられ、嘉手納では、すでにF22ステルス戦闘機やPAC3ミサイル配備やパラシュート降下訓練が強行されています。
「負担軽減」どころか、全国に基地被害を拡大するものにほかなりません。政府は再編計画そのものを撤回すべきです。その推進のための法案など、もってのほかです。
昨年、ローレス米国防副次官が日本側の負担総額は三兆円に上ると述べましたが、政府は、おおよその見積もりさえ示さず、再編による新たな基地建設の全体像も明らかにしていません。
グアム「移転」経費の問題では、本来、米軍部隊が自国に戻るのは「撤退」にほかならず、必要な費用は、米政府自身が負担するのが当然です。米軍の「撤退」費用を負担した例が、世界のどこにあるのですか。
沖縄の米軍基地は、米軍占領下に、銃剣とブルドーザーで住民の土地を強奪して構築したものです。強奪した土地から引き揚げる米軍の「撤退」場所の確保まで日本の税金でみるなど断じて許されません。
政府はこれまで、日米地位協定上何ら負担義務がないにもかかわらず、「思いやり」と称して、在日米軍駐留経費を分担してきましたが、今度は日米安保条約・地位協定さえ想定していない、米国領グアムの米軍司令部や隊舎、家族住宅、インフラ整備に巨額の財政負担を行うというのです。安保条約、財政法上の根拠について明確な説明を求めます。
グアムの米軍基地増強は、米国政府自身が自らの方針に基づいてすすめるものであり、今回の在沖海兵隊の「移転」計画は、その一部を担うものにほかなりません。
グアムではすでにB52戦略爆撃機や原子力潜水艦の配備がすすめられ、今後さらに、米陸軍司令部と大隊規模の部隊配備、原子力空母の本格寄港に向けた港湾整備、無人偵察機グローバル・ホークや空中給油機の配備などが計画されています。太平洋地域重視を打ち出したQDR(「四年ごとの国防計画の見直し」)に基づき、陸・海・空・海兵隊統合の新たな一大戦略拠点をつくろうとしているのです。
政府は「海兵隊司令部八千人とその家族九千人をグアムに『移転』する」と言いますが、米太平洋軍が昨年九月に公表した「グアム統合軍事開発計画」は、一万人規模の地上・航空・後方支援の実戦部隊からなる「海兵旅団」をグアムに新設することを明らかにしています。司令部はそのうち二千八百人を占めるにすぎず、昨年の日米合意はすでに大本から崩れています。
最後に、住民の生活と安全に責任をもつ地方自治体が、危険極まりない基地強化に反対と懸念の声を上げるのは当然であり、政府は、そうした声を真摯(しんし)に受け止めるべきです。
ところが、政府・与党は、閣議決定で再編計画を一方的に押しつけ、そのうえ、本法案で「再編交付金」を創設しようとしています。
これは、再編による基地強化を受け入れた地方自治体のみを対象とし、しかも計画の進ちょく状況に応じて交付額を増やすというものです。この「再編交付金」は、政府方針を受け入れさせるために、地方をカネの力でねじ伏せるものではありませんか。まさに基地を抱える自治体と住民を愚弄(ぐろう)するものであり、断じて許されません。
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