2007年3月28日(水)「しんぶん赤旗」
都市農業の存続策は?
〈問い〉 ボランティアで手伝っていた東京の農家で、おじいさんがなくなり、農地の相続で大変苦労されました。共産党は都市農家の相続税はどう考えるのか。都市の農家の存続政策もふくめてお教えください。(東京・一読者)
〈答え〉 都市の農地は新鮮で安全な農産物を供給するとともに緑の環境や防災空間、市民の憩いや教育の場など多面的な役割を果たしています。東京都の調査で住民の8割が「残したい」と答えているのはその表れです。
ところが、その願いに反して農地は毎年減り続けています。東京の市街化区域農地は最近10年間で約2割も減りました。その原因に開発など大企業の利益のためには「都市に農地はいらない」とじゃまもの扱いにしてきた自民党政府の都市政策があることはあきらかですが、農地の税制なかでも相続税がその重要な契機になっているのはご指摘のとおりです。
それは、農地価格が宅地並みに評価されるため、農地を切り売りしなければ払えない多額の相続税がのしかかるからです。東京都の調査では、農業に意欲を持つ農家でも相続が発生すると11%が「やめざるを得ない」、44%が「大半の農地を売却し、経営が困難に」と回答しているほどです。
「生産緑地」に登録すれば相続税が猶予される制度はありますが、その要件が厳しいうえに、作業場や農機具倉庫などは対象外であるため、その分の相続税支払いのために農地を売る事態が後を絶たず、農地減少の歯止めにはなっていません。
日本共産党は都市の農地の固定資産税や相続税の評価は宅地並みではなく農業収入を基本に行うべきだと主張しています。当面、生産緑地の要件を緩和するとともに相続税納税猶予の制度を農業用施設用地や緑として貴重な屋敷林などにも適用を広げ、農家の営農を全体として守れる制度にすべきだと考えています。
同時に都市にかけがえのない農地を将来に残していくためには、都市計画に農業を明確に位置づけ、住民・消費者との共同・交流を広げながら、販路や流通・加工への支援など農家が営農を続けられるよう積極的な振興策が必要だと考えます。 (橋)
〔2007・3・28(水)〕