2007年3月29日(木)「しんぶん赤旗」
石原都政の都営住宅建設ゼロは本当ですか?
〈問い〉 石原都政は都営住宅をまったくつくらなかったというのは、本当ですか? 美濃部革新都政や鈴木都政、青島都政時代ではどうだったのですか?(東京、一読者)
〈答え〉 石原都政が誕生したのが1999年。その翌年、石原知事が予算化した2000年度から新規建築の都営住宅建設は見送られ一戸も建設されていません。以前は建て替える場合、戸数を増やしていましたが、現在は従前の戸数しか建設せず、また都営住宅を廃止したりして供給戸数を抑制しています。
しかも建て替え後に建設される住宅は1DK、2Kの小規模住宅が中心で、子育て世代向け住宅供給は極めて限定されたものになっています。
都営住宅は憲法25条の生存権保障に基づいた「公営住宅法」によって供給・管理されているものであり、公営住宅の供給・管理は住民の居住権を保障する国・自治体の重要な仕事です。
1967年から3期続いた美濃部革新都政の前半は、シビルミニマム(最低限度の生活水準)の確保として、老人医療の無料化や未認可保育所への助成、都立高校の増設などとともに都営住宅建設が活発におこなわれ、68、69年度は1万2千余戸が新規建設され、予算を組んだ任期中(68年〜78年度)の平均でも5587戸が新規建設されました。当時、地方から東京にきた多くの勤労者が居住し、子育てをおこなうなどコミュニティーの場となりました。
その後の鈴木、青島都政時代にも新規建設はおこなわれましたが建て替えが中心で、多くて2千戸弱にとどまりました。
新規建設をおこなわないため、空き家になった住宅の供給だけとなり、応募倍率は55・1倍(06年度)にもなっています。
しかも都民の貧困と格差は拡大し“年金暮らしで家賃が払えない”などで家賃滞納者が激増しています。全国の公営住宅家賃の滞納者数(戸)がこの10年間(95年〜04年)で4万件も増えています。(国土交通省資料より)
団地の高齢化がすすみ、商店街の空き店舗が増えるなど、コミュニティーの再生が課題になっています。
日本共産党は、▽現在の供給を抑制する計画をあらため、計画的に新規建設戸数を増やし、高齢者や子育て世帯、若者向け住宅の供給し、老若、多様な世代の世帯が共生する団地づくりをめざす▽現在の「応能応益家賃」を居住者の負担能力を考慮した家賃にする―ことを提言しています。(高)〔2007・3・29(木)〕