2007年3月30日(金)「しんぶん赤旗」

公明こそ増税の立役者

定率減税であべこべ攻撃


 いっせい地方選挙の論戦が本格化するなか、公明党は「定率減税の導入に最後まで反対したのが共産党」「自ら反対した定率減税を錦の御旗に、定率減税の立役者である公明党を批判している」(松尾忠昌京都府議、二日)などと、共産党攻撃を繰り返しています。

 公明党は、定率減税廃止という庶民増税を一番先に言いだし、“増税の戦犯”と指摘されています。その批判をかわそうと、庶民増税に反対してきた共産党の姿をあべこべに描くなどとはとんでもないことです。

 定率減税の実施は一九九九年度です。九八年度限りの特別減税だった定額減税にかわる、恒久的減税として導入されました。世帯の構成員数に応じて減税される定額減税に対し、定率減税は税額から一定割合が減税される仕組みです。高額所得者ほど減税額が多くなる一方、七割のサラリーマン層では定額減税の廃止額の方が大きく、事実上の増税となるものでした。子ども二人と夫婦片働きの年収五百万円の世帯では、九八年度の所得税・住民税約三万三千円が、九九年度には約十二万七千円にもなりました。

 また、法人税率の引き下げ、所得税の最高税率の引き下げがセットになった大企業、高所得者優遇の減税であり、日本共産党が反対するのは当然でした。

 だいたい公明党自身が定率減税導入に反対していたのを忘れたのでしょうか。公明党も同年の予算には、「最高税率の引き下げという高額所得者への配慮を優先したため、勤労者の八割以上が負担増になる」「経済無視の減税であり、断じて容認できない」(白保台一衆院議員、九九年二月)と、定率減税の導入を理由に反対しています。

 ところが、定率減税の関連法の段になって、まともな理由もなく賛成に回るという説明のつかない態度に出たのです。

 当時、自民党は九八年の参院選で大敗。自由党と連立を組んでも参院では過半数の議席に届きませんでした。予算は衆院の過半数で通せても、法律は参院で公明党の賛成がなければ成立しない状態でした。まさに公明党が、負担増の“立役者”となったのです。

 定率減税をめぐる公明党の態度は、同年十月の自自公連立政権の発足を前に、自らを政権に高く売り込むための党利党略と批判されても仕方がないものです。

 中低所得層にとっては減税額の少なかったその定率減税さえ、公明党は、〇三年総選挙のマニフェストで「所得税の定率減税及び年金課税の見直し」を掲げ、廃止に道を開きました。

 定額減税から定率減税へという負担増を推進したうえ、その定率減税さえ廃止した公明党の“増税戦犯”としての責任は、二重に重大です。


 定額減税 九七年、橋本内閣が行った消費税率3%から5%への引き上げなど九兆円負担増が消費不況を招き、その景気対策として九八年度限りで行われた二回の特別減税。納税者本人五万五千円、扶養家族一人につきその半額を所得税・住民税から減税。

 定率減税 九九年度に、定額減税にかわる減税として実施。所得税額の20%(減税限度額二十五万円)、住民税額の15%(同四万円)を減税。〇五年度半減、〇六年度廃止。



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