2007年3月30日(金)「しんぶん赤旗」
不当配転を正当化
NTTリストラ裁判
東京地裁
十一万人リストラを拒んだ労働者を異職種・遠隔地に配転したのは違法だと通信産業労組の組合員ら九人が訴えていた裁判で、東京地裁(中西茂裁判長)は二十九日、「(リストラ計画は)経営上の合理性、必要性が認められる」「(遠隔地配転など不利益は)労働者が通常甘受すべき程度」などとして訴えを棄却する判決を出しました。
判決後、今村幸次郎弁護団事務局長は「企業の利益を一方的に擁護する不当な判決だ。事実にまったく目をつぶっている」と批判。鎌倉清美全国原告団長は「会社の言い分をそのまま認めた不当判決だ。働くルールを守るためにたたかい続ける」とのべました。
NTTは、五十一歳以上の労働者に最大30%の賃下げ・再雇用を迫り、これに応じない労働者を北海道や仙台、群馬、新潟などから首都圏に配転し、それまでと違う業務に配属しました。
単身赴任や長距離通勤を余儀なくされ、労働者の健康だけでなく、子どもや老親など家族にも不利益を強いるもので、配転後、六人の原告らの家族が亡くなりました。
判決は、退職再雇用を迫ったリストラ計画について「選択は、あくまで社員の自由意思による」と形式だけで判断。
「余人をもって替え難い配転であったといえない」としながら、30%もの賃金ダウンを「各地域の類似業種の賃金よりは高い」と肯定し、配転による不利益も「寂しさや生活上の不便をいうもの」とするなど実態を見ない判断に終始しました。
NTTリストラ訴訟判決は、二十八日の大阪地裁、昨年九月の札幌地裁に続き三度目。札幌では労働者の全員勝訴、大阪では一部勝訴。
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