2007年4月9日(月)「しんぶん赤旗」

主張

米軍再編巨額負担

生活予算がますます削られる


 政府・与党は米軍再編特措法案の審議を急ぎ、今月中旬にも衆議院を通過させようとしています。米軍が世界各地に迅速・効率的に出撃できるよう、基地の再編計画を加速させるのがねらいです。

 米軍再編に要する経費は、在日米軍基地の再編と、沖縄から海兵隊の一部が移転するアメリカ領グアムの基地再編を合わせると巨額になるのはあきらかです。しかし、政府は日本の負担額をいっさいあきらかにしません。肝心なことを隠したままで、再編特措法案の審議を進めろというのは無理な話です。

三兆円ではすまない

 ローレス米国防副次官は昨年四月、日本国内での再編とグアム基地での再編のための経費が合わせて三百億ドル(約三兆五千億円)以上で、そのうち日本負担が二百六十億ドル(約三兆円)になると説明しています。

 このうち、グアム基地内での軍事施設や家族用住宅などの建設経費の日本側負担分は六十・九億ドルです。外国の領土での軍事基地建設を日本が負担するなどというのは世界にも例のない、前代未聞の事態です。

 国内での基地再編も、沖縄の滑走路を二本もつ新基地建設、岩国基地(山口県)への米空母艦載機部隊などの移転、キャンプ座間(神奈川県)の陸軍司令部の改編、横田基地(東京都)の日米共同使用、米軍機の訓練移転のための自衛隊基地の整備など大規模な計画です。ローレス発言にそっていえば、グアムでの軍事施設建設費の日本負担分をのぞいた約二百億ドル、日本円にして二兆三千億円を超える経費が国内での再編経費になる勘定です。

 政府は「日米協議中」を理由に国内再編経費の概算すら示しません。巨額負担がわかれば国民から反発を受け、再編計画そのものが危うくなるのをおそれてのことです。政府の身勝手というほかありません。

 米軍再編の経費は、ローレス発言のように三兆円ですむ保証はありません。施設改善や維持費を将来日本が負担することもありえます。

 グアム基地建設後の施設改善・維持経費を日本に負担させる兆候もすでにあらわれています。米国防総省監察官は先月公表した報告書で、施設の改善・維持のために毎年四億六千五百万ドル(約五百四十億円)が余分にかかるといっています。にもかかわらず米海兵隊は、必要な予算計画を提出していません。これは司令部や隊舎などの軍事施設や家族用住宅などの施設の改善・維持費を日本に負担させるねらいがあるからだと指摘されています。

 軍拡を続けさせ、米軍再編経費も負担させるため、アメリカ政府は日本に軍事費をいっそう増やせといってきています。シーファー駐日アメリカ大使は、日本の軍事費が国内総生産(GDP)の1%以下だと不満をいい、「もっと負担してくれることをのぞむ」とまでいいました(三月十四日)。日米同盟の再編・強化に賛成した以上、断れないと踏んでいるのです。

再編反対の意思表明

 軍事費は福祉・教育などの国民生活予算を圧迫する要因です。米軍再編は現状をますます悪化させ、貧困と格差を広げるだけでなく、騒音をはじめとした基地被害を大きくするものです。世界各地で戦争を行うための米軍再編のために、国民の血税を使わせることはできません。

 日本共産党は米軍再編のための経費負担に反対します。逆に、軍事費を削って国民生活予算にまわすことをつよく要求します。



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