2007年4月9日(月)「しんぶん赤旗」

相互理解 終始原則に

日中歴史共同研究で中国側座長


 昨年十月の日中首脳会談で、両国の有識者による歴史共同研究を開始することが合意され、これにもとづいて十二月と三月に二回の会合が開かれました。日中平和友好条約締結三十周年にあたる来年中の研究成果の発表をめざして作業が続けられます。

 日中両国は、「歴史を直視し未来へ向かう」精神で共同研究をすることによって、「歴史への客観的認識を深め、相互理解を増進する」ことで一致しています。

 共同研究の意義に関する中国側の立場を示すものに、中国側座長を務める歩平・中国社会科学院近代史研究所長の論文(中国誌『環球』二〇〇七年第二号)があります。

 この論文で歩平氏は、日中間で歴史問題が解決されないのは、「侵略戦争の責任を認めず、その事実を否定する言動」があるからだと述べ、それが「不健全な環境が生まれる根本原因」になっていると指摘。それとともに、「日本共産党を中心とする左翼勢力は、国と天皇をはじめとする戦争指導者の責任を政治面から徹底的に追及することを主張し、活発な大衆運動をくりひろげている」と紹介しています。

 論文は、戦争責任を認めない勢力の言動だけでなく、戦争体験や社会環境などの違いによっても両国民間の歴史認識に違いが生じることから、共同研究の過程では「相互理解を終始一貫して原則とすべきだ」と強調しています。そして「共同研究を通じて学者間の相互理解に達し、そこから民間レベルの相互理解を促し、両国民が自分の意識と相互批判のさいの基準を適切に調整するよう促せば、両国関係に存在する障害を除くうえで積極的な役割を果たすことができる」と述べています。

 また、「中国の学者は国益を守る立場をとっている」との批判に対し、友好的な日中関係は両国それぞれの国益でもあり共通の利益でもあると反論。「歴史の高みに立って両国関係を全面的に調整する」ことは、「アジア全体の利益から見ても必要とされている」と指摘しています。(党国際局 紫垣ちひろ)



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