2007年4月11日(水)「しんぶん赤旗」
発達障害者への手帳交付 どう考える?
〈問い〉 現行の福祉手帳は、身体・知的・精神の三つの障害区分によって、それぞれ交付されています。この従来の手帳に加えて、「発達」という新たな障害区分を設けて、手帳を交付すべきだという根強いニーズが高まっています。2005年には、発達障害者支援基本法が施行されました。これに関しては貴党はどのような政策で臨んでおられるのでしょうか?(東京・一読者)
〈答え〉 発達障害者支援法(05年4月1日施行)は、関係団体の長年の運動がみのり、日本共産党をふくむ超党派の議員立法として成立しました。
発達障害とは、学習障害、注意欠陥多動性障害、広汎(こうはん)性発達障害、その他これに類する脳機能の障害のことです。広汎性発達障害とは、(1)社会性の障害(2)コミュニケーションの障害(3)想像力の障害とそれに基づく行動の障害―という三つの特徴をもつ障害です。三つの障害が明らかなときは自閉性障害、言葉の遅れがない場合はアスペルガー症候群、特徴が一部もしくは軽度な場合は特定不能の広汎性発達障害とされています。
これらの発達障害をもっているのは児童人口の5%ないし、それ以上と推定され、発生頻度が高い障害ですが、これまでは、知的障害を伴わない場合には福祉施策を受けられない「谷間の障害者」とされていました。
同法はこれまで支援の対象とならなかった発達障害者に対する、国・地方自治体の支援の責務をうたい、都道府県ごとに発達支援センターを設置する、乳幼児期や就学時の健康診断での早期発見や早期発達支援をすすめる、専門的な医療機関を確保する―などがもりこまれており、日本共産党も賛成しました。
今後、必要に応じて見直し、発展させていくことが大切であり、法案の議論の中でも、そのことが確認されています。
地方議会でも、共産党は発達障害についてさまざまな角度からとりあげています。先日も、秋田県議会で発達支援センター設置を約束させ、各地で特別支援教育の職員配置の増員を求めるなどしてきています。
現在、日本では、障害の種別や状態を確認し、必要なサービスを利用しやすくするために、障害者(児)手帳の交付が一般的になっていることから、「発達障害者(児)手帳」の導入は当然だと思います。
手帳は、日本自閉症協会などの団体も要望しています。支援法ができても、まだなお、三障害(知的障害・身体障害・精神障害)よりも支援がおくれていることから、手帳の交付で支援の対象者であることを明確にさせ、実効ある福祉サービスを利用できるようにすることは必要だと考えます。特に、乳幼児期の親たちの不安と負担は相当なものであることから、手帳の交付で支援を明確にすることも大切だと思います。(秋)
〔2007・4・11(水)〕