2007年4月14日(土)「しんぶん赤旗」
米軍再編法案 赤嶺議員の反対討論
住民が求めているのは再編でなく 基地ない街
日本共産党の赤嶺政賢議員が十三日の衆院本会議で行った在日米軍再編促進法案に対する反対討論は次の通りです。
本法案は、「米軍再編」を促進するとして出されたものですが、いまだに再編計画の全容、日本側負担総額、グアム「移転」計画の全容、財政負担の具体的方法など、法案の骨格、基本にかかわる問題が、何ら明らかにされていません。審議は全く不十分であります。地方公聴会も開かず、関係自治体の意見も聞かず、討論の機会さえ封じて、昨日委員会質疑を打ち切り、採決を強行した政府・与党に対し、断固抗議するものであります。
海外で戦争
そもそも「米軍再編」は、アメリカの先制攻撃戦略につき従って、米軍と自衛隊が一体となって海外で戦争できる態勢づくりにほかなりません。イラク戦争が国連憲章違反の侵略戦争であることは、いまや明白であり、米軍占領の継続が、事態の一層の混乱をつくりだしてきたのであります。このような米戦略に基づき、司令部から部隊まで一体化し、全国に基地強化を拡大する米軍と自衛隊の再編は、断じて許されません。
第一に、政府は、在沖海兵隊のグアム「移転」を「沖縄の負担軽減のため」と言いますが、これは、グアムに陸・海・空・海兵隊の新たな戦略拠点をつくるという米戦略の一部を担うものにほかなりません。
政府は「在沖海兵隊司令部八千人の『移転』」と説明してきましたが、現地米軍は司令部だけでなく、航空部隊、陸上部隊、後方支援部隊の配備を前提とした計画に着手しているのであります。このことを政府も認めました。にもかかわらず、政府は名護市辺野古への新基地建設をすすめ、しかも、垂直離着陸機オスプレイの配備の可能性を認めたのであります。
いまや「負担軽減」の口実は、全く成り立ちません。
巨額の税金を投入し、沖縄には最新鋭の新基地を、グアムには海兵隊司令部・実戦部隊の新たな拠点をつくってやるなど、言語道断であります。
第二に、法案は、米軍が使用する米国内の軍事施設の建設費用や、わが国から米国への米軍撤退費用を負担するものであります。沖縄の基地は、米軍占領下に銃剣とブルドーザーで強奪して構築したものであり、この歴史にてらして、米軍撤退費用を負担することは、到底認められません。
矛盾と欠陥
しかも、外国軍隊の撤退費用を負担した例は世界のどこにもなく、安保条約・地位協定からも説明できません。憲法の平和原則をふみにじる負担であることは明らかであります。
また、政府は国際協力銀行を通じた出資・融資資金の回収は「アメリカを信じる」としか答弁できず、「真水部分」すなわち直接財政支出は、「これからスキーム(枠組み)を協議する」というのであります。矛盾と欠陥に満ちた法案と言わなければなりません。
第三に、政府は、再編による基地強化を受け入れた地方自治体のみを対象に、しかも計画の進ちょく状況に応じて交付額を増やすという再編交付金を導入しようとしています。これは、地方をカネの力で分断・懐柔し、基地強化を押しつけるものであり、関係自治体と住民を愚ろうするものにほかなりません。
いま沖縄でも本土でも、住民が求めているのは、基地や騒音のない安全なまちであり、危険きわまりない基地再編ではありません。この声を真摯(しんし)に受け止め、再編計画を撤回し、本法案は廃案にすべきであります。
最後に、安倍内閣が改憲を公然とかかげ、沖縄戦の歴史まで書き換えてすすめようとしている「海外で戦争する国づくり」を、国民・沖縄県民は決して許さないことを強調し、討論を終わります。