2007年4月16日(月)「しんぶん赤旗」

東京・北区 介護保険切り下げの独自基準

党議員団が撤回させる

「また買い物に行けるのね」


 介護保険の要介護認定の訪問調査に区が独自の厳しい基準を設け、ランクが下げられ介護サービスを減らされる人が続出した東京都北区。日本共産党の一年半にわたる調査と追及で、区側が独自基準の事実上の撤回に等しい改善内容を文書で示しました。最近の認定調査でランクが戻り、サービスを増やすことができた人が広がっています。(内藤真己子)


 「また車いすでヘルパーさんと買い物に行けるのね」。区内の団地の七階に一人で暮らす女性(90)の瞳がキラっと輝きました。

 昨年夏の認定で要介護度が要支援2に下がり、訪問介護の時間が減って大好きな買い物に行けなくなっていました。四月から以前と同じ要介護1と認定され、訪問介護を増やすことができました。

 担当のケアマネジャーも胸をなでおろします。「ほぼ毎日だった訪問介護が週三回に減り、週一回の入浴介助とおかずの買い出しなど必要最低限のことしかできませんでした。これからは、独居生活における安心を基盤に外出の機会をつくるという前向きの計画がたてられます」

 脳出血の後遺症で半身まひになった家族が在宅療養することになった同区の女性(73)は、「私自身も病気で介護はできません。要介護3の認定でほっとしました」と言います。女性の家族は日常生活の介護のほかに週三回の人工透析の通院介助が必要で、要介護3以上でないと介護計画は厳しいと言われていました。

 王子訪問看護ステーション所長は、「従来基準の認定調査では要介護2になりかねないケースでした。それでは月七万円以上の自費が出る。今回まともな認定が出たのは区議団が繰り返し取り上げてきた成果でしょう」と話します。

 同区議団は区民から寄せられる認定ランク下げの悲痛な声を聞き、議会ごとに質問。被害実態をつきつけながら独自基準を示した文書の撤回を要求し、改善を約束させてきました。

 今年の三月議会では、独自基準によるランク下げの結果、ニ〇〇五、〇六年度の二年で区の介護保険給付費が四十三億円も削減されていたことを指摘。文書を出して改善内容を認定調査員に徹底するよう求め、三月の調査員研修会で改善文書が出されました。

 認定調査員の間からは「共産党が議会で追及していなければ区の姿勢は変わっていなかった」との声が上がっています。

 日本共産党の福島宏紀北区議団長の話 改善の内容が認定調査に反映されるよう引き続き要求し、ランク下げをやめさせ、血の通った介護保険になるよう全力をあげます。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp