2007年4月19日(木)「しんぶん赤旗」

主張

食の将来

市町村に農業守る力を大きく


 田んぼでは苗作りから田植えの準備がすすみ、畑や果樹園でもさまざまな作物の種まきや開花を迎えるなど、本格的な農業生産の季節に入っています。季節感が薄れたとはいえ、農家は今年の作柄や収穫に期待をふくらませ、消費者・国民も、食料生産や緑の大地を通じて、四季のはっきりした日本における農業・農村の役割が実感できる時期です。

 そうした中で、いっせい地方選挙の後半戦を迎えています。

国民の多数が不安

 農業生産の希望に満ちた時期を迎えているにもかかわらず、農家は、自公政府が推し進めている、日本農業に壊滅的な打撃を与えるオーストラリアとの経済連携協定(EPA)交渉や、四月から実施された品目横断的経営安定対策など一部の大規模農家以外を政策対象から排除する「農政改革」のもとで、大きな不安にさらされています。

 国民のなかでは、食の将来をめぐり、76%もの人たちが将来の供給に不安を感じ、日本の食料自給率は低いと70%の人たちが回答しています。(二〇〇六年十一月、内閣府)

 農業と関連産業は、地域の基幹産業であり、地域社会の維持にとっても欠かせません。農業、とくに水路や道路の維持管理や農作業に共同作業が不可欠な水田農業は、集落のなりたちや、地域のまつりなど伝統文化にも、大きな役割を果たしてきました。地方自治体にとって、地域の条件にあった農業―地方によっては林業、漁業―を振興することは、農家を顧客とする商店街など地域経済の維持にとっても不可欠です。

 これまでも日本共産党の議員や各地の支部は、住民の要求を基礎に、市町村当局にも働きかけ、地域特産物にたいする価格保障と販路開拓、小規模な土地改良や資材・機械の購入・共同利用への援助、学校給食への地元産食材の使用をはじめとする地産地消の推進など、さまざまな振興策を提案し、少なくない自治体で実現してきました。

 それは、農政における自治体の役割を具体化し、関係者の要求にこたえるとともに、高齢者や兼業農家など小規模経営をじゃまにし、大規模経営だけを育成する自民党農政から、家族経営と農業生産・農村社会を守る力にもなってきました。

 地方の市町村が舞台になるいっせい地方選挙の後半戦では、政府によって強行されている農家・産地を選別する政策にどう対応するか、地域の条件にあった農業振興政策をどのように進めるかという、地域の農家の切実な要求にどうこたえるかが、重要な争点の一つになっています。

 いま、これまで取り組んできた成果と関係者の切実な声をもとに、地域の条件にあった具体的な政策・要求を提起するとともに、自治体が政府の悪政の防波堤になるよう、「農政改革」の害悪を地域の実態にそくして解明し、その転換をもとめることが重要になっています。

地域農業を守る議員を

 中小農家を農政の対象から外す政府の切り捨て政策に、農家だけでなく農協や自治体関係者からも悲鳴があがっています。日本共産党は、「輸入に依存し、価格暴落も野放しにして、農林漁業や地域を切り捨てる国の農政に転換を迫るとともに、地域の農林水産業をまもるための自治体として可能な政策を推進」することを訴えています。

 今度の選挙で、地域で農業を守って奮闘してきた日本共産党の議員を増やすことが、地域の農業と経済、集落を活性化させる力になります。


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