2007年4月19日(木)「しんぶん赤旗」
心配なく呼吸したい
東京大気汚染訴訟
原告、国に訴え
東京都内のぜんそく患者らが国と都、トヨタなど自動車メーカーに約二十億円の損害賠償を求めた東京大気汚染公害訴訟で、原告十一人が十八日、環境省、国土交通省などに健康被害の苦しみを訴えました。控訴審の和解協議で都が提案した「新たな医療費助成制度の創設」に、国も財源負担するよう求めたもので、東京大気汚染公害の被害者から国が直接、訴えを聞くのは初めてといいます。
生後まもなくぜんそくを発症した文京区の女性(39)は「就職の面接で、ぜんそくだとわかると雇ってもらえませんでした。職に就けても朝一番に病院に行き、仕事が終わるとまた病院で点滴をしてもらう生活。未認定の患者たちは、医療費を稼ぐため、命を削って働く生活を強いられています。なんの心配もなく呼吸がしたいと思うのはぜいたくな願いなのでしょうか。苦しいとき体を休めて病院にいける環境を私たちにください」と、国に医療救済制度の創設を求めました。
ぜんそくの発作のため学校で体育の授業にでられず、いじめを受けた北区の女性(27)は「精神的に不安定になり、対人恐怖症に陥りました。(自動車)排ガスが、私の体も、人生も狂わせました。ステロイド剤の副作用は生まれてくる子どもに影響をあたえると聞き、悲しくなります」と訴え、国に賠償を求めました。
西順司原告団長らが同日、記者会見。石川牧子・原告団事務局長は「医療費助成制度があれば生活保護を受けなくても、自立して生活できます。一生病気を背負ったわたしたちは、ここであきらめることはできません」と語りました。
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