2007年4月21日(土)「しんぶん赤旗」
資産家(高額所得者)とは?
〈問い〉 貴党の政策提言に「新たな(税)負担を求める場合は大企業・高額所得者から」という記述があります。しかし、貴党のいう高額所得者、言い換えれば資産家の定義が今一理解できません。名目上の資産を所有していても実際に支払い可能な資産を所有していない資産家もいます。そのような資産家に対しても「高額所得者」として負担を求めるというお考えなのでしょうか?(鳥取・一読者)
〈答え〉 「資産家」といっても実際に支払い可能な資産ではない場合もあるのではないかというのは、その通りだと思います。たとえば、自宅として利用している居住用の資産や、個人事業者の事業用の資産などは、売却するわけにはいかない資産です。税の負担能力の基本は、所得です。資産があっても、そこから所得が1円も発生しないのであれば、税を負担する能力があるとはいえません。
私たちが「資産家に応分の税負担を」という場合は、こうした小規模の資産を想定しているわけではありません。共産党の政策文書では、「大資産家」と限定した表現をしている場合が多いと思います。
私たちが、「大資産家への応分の課税を」といっているのは、たとえば次のような状況があるからです。
仮に個人事業者で課税所得が5000万円あれば、所得税と住民税あわせた税額は2200万円くらいです。これも以前に比べれば減っているのですが、それでも40%くらいの税負担です。ところが、株式資産を10億円以上も持っている大資産家で、その配当が5000万円あった場合には、税額が500万円で済んでしまいます。
自分で事業をして稼いだ5000万円と、株式資産を持っているだけで得られた5000万円とで、こんなに税負担の違いがあるのは「大資産家優遇」といっていいのではないでしょうか。
いまの税制では、株式配当や株式譲渡所得への課税が20%に軽減されたうえ、さらに特例措置で10%に軽減されています。政府は、この10%への軽減措置を、さらに1年間延長してしまいました。20%が10%に軽減されている分だけでも、年間1兆円もの減税です。庶民には定率減税廃止で1・7兆円の増税をおしつけながら、大資産家への減税は延長するというのは間違いだと、私たちは主張しているのです。(垣)
〔2007・4・21(土)〕