2007年4月25日(水)「しんぶん赤旗」
イラク特措法延長案に対する
赤嶺議員の質問(大要)
衆院本会議
二十四日の衆院本会議で行われたイラク特措法延長案に対する日本共産党の赤嶺政賢議員の質問(大要)は次のとおりです。
イラク特措法は、米英がはじめた無法なイラク戦争とそれにつづく軍事占領に自衛隊を派兵し、これに日本が参加・加担するという軍事占領支援法です。武力による威嚇と武力の行使を禁止し、交戦権を否認した憲法九条を真っ向からふみにじる明白な違憲立法にほかなりません。自衛隊はただちに撤退すべきであり、その延長は断じて認められません。
米英による戦争開始から四年――イラクの現状は、泥沼化そのものであります。無法な侵略戦争と占領支配、軍事掃討作戦は、イラク国民の反発と抵抗を生み、宗派間の対立や武装勢力の台頭など、事態の深刻化を招いてきました。
この際、はっきりさせておかなければならないことは、日本政府がいまだに「イラク開戦の判断は正しかった」と主張しつづけている問題です。
総理は「フセインが大量破壊兵器を持っていないことを証明する機会を生かさなかった」とイラク側に責任があるかのように言いますが、国際社会の圧倒的多数は査察の継続を求め、当時の国連査察委員会のブリクス委員長は「あと数カ月で結論を出せる」と述べていたのであります。それを一方的に打ち切り、国連安保理事会の合意もなしに、戦争にふみきったのであり、責任が米英にあることは明白ではありませんか。
戦争の最大の根拠とされた大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことは、累次の米政府報告書ですでに確定しています。
ブッシュ大統領自身、一昨年十二月、誤った情報に基づいて開戦を判断したことを公式に認め、今年一月にもイラク政策失敗の責任が自らにあることを認めています。
イラク戦争が、ウソではじめられた国連憲章違反の侵略戦争であることをはっきり認めるべきではありませんか。
いま米国内でも、ブッシュ政権のやり方に反対し、米軍の撤退を求める声が多数を占めるに至っています。昨年十一月の中間選挙で共和党が敗北した下で、上下両院が来年までの戦闘部隊の撤退完了を可決したのであります。
国際的にも、いまや「有志連合」は、世界の一握りにまで孤立しています。イラクからすでにスペインやイタリアなど十五カ国が撤退し、イギリスも今年二月、部隊の一部撤退にふみだしているのであります。
いまイラク情勢の打開のために必要なことは、期限を切った多国籍軍の撤退であり、イラク国民の国民的和解と融和に向けた国際社会の協力と外交努力であります。
とりわけ、イラク国内外で四百万人をこえるとも言われる避難民は、「人道危機状態にある」と言われています。避難民支援は急務であります。国際社会では、派兵国とその同盟国に治安悪化の責任を問う声が上がっています。日本政府は、こうした声にどうこたえるのですか。
航空自衛隊は、昨年夏の陸上自衛隊の撤退後、活動区域をバグダッド飛行場、イラク北部エルビル飛行場に拡大しています。政府は「自衛隊の活動は人道復興支援活動だ」と言いますが、航空自衛隊は、一体どういう活動を行っているのですか。
政府は私たちの追及に、航空自衛隊の月あたり十七―二十回の輸送実績のうち、国連支援は四―五回にすぎず、実に七―八割が多国籍軍支援だと認めました。これがどうして「人道復興支援活動」なのですか。
イラク特措法は、戦争が終わったイラクの復興支援のため「非戦闘地域」に派遣することを前提としているから、憲法違反ではないというのが政府の説明でした。しかし、実際には派遣自衛隊は、多国籍軍の一員として、多国籍軍司令部の統制の下に、米英による軍事占領の一翼を担ってきたのであります。しかも航空自衛隊は、内戦状態で戦闘のつづくバグダッドに兵員物資輸送を行っているのであります。こうした派遣の実際から特措法の違憲性は明らかであり、廃止すべきが当然であります。ところが安倍総理は、憲法改正を掲げる一方で、集団的自衛権行使の解釈見直しを提起したのであります。「時代が変わっていく中で、憲法をどう解釈すべきか」などと言って、政府の都合で憲法九条の解釈を変えるなどということは断じて容認できません。