2007年4月25日(水)「しんぶん赤旗」
イラクでの武装集団「掃討作戦」
米司令官も疑問
【カイロ=松本眞志】イラクで武装集団「掃討」作戦を担当している米軍指揮官の間に、「(イラクの)長期的安定を確保するためにはイラク指導者による政治的解決が重要だ」との声が広がっています。
米紙ワシントン・ポスト二十二日付(電子版)は、イラク駐留米軍のペトレアス司令官が、米・イラク軍の兵力の増強でバグダッドと西部のアンバル州の治安を改善させたものの、他の地域では爆弾テロが激増し、「作戦が最終的に成功するかどうかは不確定だ」と語ったと報じました。
ブッシュ米大統領が一月に発表した二万人を超える戦闘部隊増派を含む新イラク政策と、これに基づく武装集団「掃討」作戦を当事者自身が疑問視していることを示しています。
この作戦はもともと期限が不明確で、効果が疑問視されるなかで開始されました。二カ月以上経過しましたが、イラクでの爆弾テロと、その犠牲者は増える一方です。
米軍はまた首都バグダッドで、宗派間抗争を防止するためだとしてイラク政府の意向をも無視して分離壁を建設。住民からは生活が困難になると不満が出ています。
十二日の国民議会の建物内での爆弾テロの際、ライス米国務長官は「掃討作戦はまだ始まったばかり」だと語りました。二百三十人が死亡した十八日の爆弾テロでは、現地米軍高官が「成果が表れるのは五月末以降」と言い訳に終始しました。
ゲーツ米国防長官も二十日にイラクを訪問した際、「作戦はイラク政権に政治改革の時間を与えるためだ」と発言。ついには、(作戦は)「紛争そのものを終結させることが目的ではない」と言い切りました。米軍のイラク侵略と占領が引き起こした暴力やテロへの反省はないものの、ブッシュ式の軍事優先策では治安を回復できないことを自認する発言です。
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