2007年4月27日(金)「しんぶん赤旗」
集団的自衛権
有識者懇 改憲派ぞろい
首相の指導力求める発言も
集団的自衛権の行使に向けて安倍内閣が二十五日設置した有識者懇談会(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)は、十三人のメンバーの顔ぶれにも、その危険性が表れています。
元防衛事務次官や元統合幕僚会議議長、前駐米大使などはもちろん、民間の「有識者」の多くも安倍首相に近く、集団的自衛権行使の容認に前向きな人々で占められています。
岡崎久彦元駐タイ大使は、安倍首相との共著『この国を守る決意』で、「日本は集団的自衛権のないお陰でどれだけ損をして、どれだけチャンスを逸しているかを考えないと」「集団的自衛権の行使を認めていれば、今回のイラク戦争で世界三大国の一つになっていた」などとのべる根っからの改憲論者です。
葛西敬之JR東海会長は二〇〇四年、民間の憲法調査専門委員会の委員長として報告書をまとめ、そこでは解釈変更による集団的自衛権行使について「憲法改正以前に緊急措置としてできることはすべてやるという姿勢を示さなければ、何のために改正するのか国民の納得を得るのはむずかしい」と、首相の「リーダーシップ」まで求めています。
また坂元一哉大阪大学教授は、「集団的自衛権を国際法上持っているけれども憲法上行使できないという政府解釈は、果たして正しい憲法解釈でしょうか。私は全くそうは思いません」(〇四年二月、参院憲法調査会)と主張。佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授は著書で、従来の政府解釈について、「内閣法制局の不遜(ふそん)」などと攻撃しています。田中明彦東大教授も、〇六年に「集団的自衛権の行使へ―普通の民主主義国家としての責任を―」との報告書を共同で作成しています。
十三人のメンバーについては、二十六日付の各紙も、「ずらり首相寄り」(「朝日」)、「日米同盟重視派並べ」(「毎日」)との見出しで報道。「東京」は、「首相の意に沿った報告書がまとまるのは間違いない」と書きました。
懇談会のメンバー
柳井俊二前駐米大使(座長就任予定)▽岩間陽子政策研究大学院大准教授▽岡崎久彦元駐タイ大使▽葛西敬之JR東海会長▽北岡伸一東大教授▽坂元一哉阪大教授▽佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授▽佐藤謙元防衛事務次官▽田中明彦東大教授▽中西寛京大教授▽西修駒沢大教授▽西元徹也元統幕議長▽村瀬信也上智大教授
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