2007年5月1日(火)「しんぶん赤旗」
地球温暖化の抑制・緩和策を討議
IPCC 第3作業部会始まる
【ハノイ=井上歩】地球温暖化の抑制・緩和策を評価する国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第三作業部会が三十日、タイのバンコクではじまりました。四日に報告書(政策立案者向けの要約)を発表する予定です。
伝えられている報告書草案によれば、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出量は二〇三〇年までの三十年間に最低でも40%以上増大。長期的に気候変動を抑制するための追加政策と即時の行動が必要だとしています。
なかでも自動車、航空機など輸送による排出量増大を強調。現在のエネルギー使用の形を転換しなければ、使用燃料は年間2%増となり、温室効果ガス排出量は三〇年までに、〇二年比で80%増となるとしています。農業での化学肥料の使用などが排出量を増やすと指摘しています。
解決策について草案は、火力から風力・太陽光発電への転換、消費電力の少ない電化製品の導入などを提示しています。
費用については、三〇年までの各国のGDP(国内総生産)の0・2―3%で温室効果ガス排出の上昇を抑え、安定化させることができると見積もっています。さらに、化石燃料の燃焼による環境汚染と健康被害が減少することから得る利益の方が費用を上回る可能性も指摘しています。
ことし二月と四月に開かれたIPCCの作業部会では、温暖化の原因を人間の活動によるものだとし、水不足、飢餓、異常気象、生物種の絶滅の危険を警告。十一月には今回の緩和策を加えて三つの作業部会の報告をまとめたIPCC最終評価報告書を発表します。
IPCCは一九八八年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が設立。十一月の最終評価報告書は、九〇年発表の第一次報告以来、四度目となります。一連の報告は百三十カ国、二千五百人の科学者の研究に基づいています。
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