2007年5月2日(水)「しんぶん赤旗」

軍機保護、米並みに

日米安保協合意 一体化いっそう


 【ワシントン=山崎伸治】日米の外務、軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が一日午前(日本時間二日未明)、ワシントンで開かれました。終了後、「同盟の変革、日米の安全保障及び防衛協力の進展」と題した共同発表文書を公表。秘密軍事情報保護のための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結へ実質的に合意しました。GSOMIAは米国並みの「軍事情報保護」を締約国に義務づけるもので、国民すべてが対象となりかねません。

 文書は、二国間の化学・生物・放射線・核(CBRN)の防護作業部会の設立を打ち出し、日米間の軍事的一体化にいっそう踏み出すものとなっています。

 「ミサイル防衛」(MD)については、「双方は同盟の役割・任務・能力の支援のために共有されるべき、より広範な運用情報およびデータを特定するために包括的な情報共有ロードマップを策定する」ことを打ち出しました。

 日本と北大西洋条約機構(NATO)との広範な協力の達成も打ち出しました。

 在日米軍「再編ロードマップ」の実施をあげ、目標の二〇一四年までに普天間基地「代替施設」を完成させることが、「沖縄における再編全体の成功裏かつ時宜にかなった実施のための鍵である」としています。

 また文書は、日米安保条約の「伝統的な役割の重要性」を確認し、米側が核兵器を含む「あらゆる種類の米国の軍事力」によって「抑止」を拡大することを表明しました。


2プラス2の共同文書要旨

 日米安全保障協議委員会(2プラス2)が一日まとめた共同発表「同盟の変革 日米の安全保障及び防衛協力の進展」(要旨)は次の通りです。

 【I、概観】

 日米安全保障関係は、日本の防衛の基盤であり、アジア太平洋地域の平和及び安全の要である。安全保障協議委員会(SCC)の構成員たる閣僚は、過去二年間の安全保障協議委員会の会合及び発表文において示された展望に従って、二国間の安全保障及び防衛協力が近年進展していることを歓迎した。二〇〇六年七月のミサイル発射及び同年十月の核実験を含む北朝鮮による挑発は、常に変化する安全保障環境において同盟が引き続き有効であることを確保するためには、日米同盟の変革が重要であるということを明確に認識させるものである。

 さらに、閣僚は、安全保障条約の伝統的な役割の重要性を強調した。同条約は、日本政府に対する米国の安全保障を確かなものとしつつ、同盟関係にとって死活的に重要な在日米軍のプレゼンスを可能としてきた。米国の拡大抑止は、日本の防衛及び地域の安全保障を支えるものである。米国は、あらゆる種類の米国の軍事力(核及び非核の双方の打撃力及び防衛能力を含む。)が、拡大抑止の中核を形成し、日本の防衛に対する米国のコミットメントを裏付けることを再確認した。

 【II、共通戦略目標】

 閣僚は、今般の協議において、両国の利益を進展させる以下の戦略目標を強調した。

・北大西洋条約機構(NATO)の平和及び安全への世界的な貢献と日米同盟の共通戦略目標とが一致し、かつ、補完的であることを認識しつつ、より広範な日本とNATOとの協力を達成する。

 【III、役割・任務・能力】

 閣僚は、同盟の変革に関する構想に沿った役割・任務・能力の進展を確認するとともに、以下を強調した。

 ・自衛隊による国際平和維持活動、国際緊急援助活動及び周辺事態への対応の本来任務化。

 ・軍事情報包括保護協定(GSOMIA)としても知られる、秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する両政府間の実質的合意。GSOMIAは、情報交換を円滑化し、情報並びに防衛装備計画及び運用情報の共有に資する情報保全のための共通の基礎を確立するものである。

 ・二国間の化学・生物・放射線・核(CBRN)防護作業部会の設立。

 【IV、再編ロードマップの実施】

 閣僚は、二〇〇六年五月の安全保障協議委員会文書「再編実施のための日米のロードマップ」に記されている再編案を着実に実施する決意を再確認した。

 閣僚は、「ロードマップ」に従って、目標の二〇一四年までに普天間飛行場代替施設を完成させることが、第三海兵機動展開部隊のグアムへの移転及びそれに続く沖縄に残る施設・区域の統合を含む、沖縄における再編全体の成功裡かつ時宜に適った実施のための鍵であることを再確認した。

 【V、BMD及び運用協力の強化】

 閣僚は、以下の分野の運用協力を強調した。

 ・米軍及び自衛隊は、弾道ミサイルの脅威に対するミサイル防衛及び関連作戦の実施に当たっての構想、役割及び任務を相互に明確にする。

 ・双方は、同盟の役割・任務・能力の支援のために共有されるべき、より広範な運用情報及びデータを特定するために、包括的な情報共有ロードマップを策定する。

 【VI、BMDシステム能力の向上】

(略)



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