2007年5月2日(水)「しんぶん赤旗」

2プラス2共同文書

「米国と一緒に戦争できる国」へ

「情報共有」で加速


解説

 一年ぶりに開催された日米安保協議委員会(2プラス2)の共同文書は、〇五年二月から昨年五月にかけて行われた在日米軍再編合意の進展状況と、「ミサイル防衛」(MD)網配備の到達点を確認した上で、今後の課題を挙げるという構成になっています。

 重大なのは、日米の軍事的融合・一体化を新段階に引き上げるため、軍事情報の共有や保護のための措置を挙げていることです。

 共同文書は冒頭、北朝鮮の核実験を非難し、米国の核能力のいっそうの展開を意味する「拡大抑止」の重要性に言及。米国の核・非核の打撃力が「日本の防衛に対する米国のコミットメントを裏付ける」ことを再確認した上で、「秘密を保護するためのメカニズムの強化」に言及しています。

 具体的な措置としてあげているのは「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)と言われる協定です。共同文書は同協定について、装備や軍事作戦の情報を共有するため、「情報保全のための共通の基礎を確立する」ものだと述べています。締結されれば、米国が提供した軍事秘密情報の流出防止のため、米国と同程度(死刑を含む)の、刑事罰を含む厳しい措置が想定されます。政府関係者だけでなく戦争政策を追及する国会議員や国民が罰則の対象になりかねません。

 日米のMD網配備を円滑に進めるための「包括的な情報共有ロードマップ」策定の合意も、新たな動きです。

 在日米軍再編では、米空軍横田基地(東京都)への空自航空総隊司令部の移転や日米共同統合運用調整所の確立で合意。在日米空軍司令部を通じ、ハワイの米太平洋空軍司令部などと、弾道ミサイル情報を共有する枠組みの整備が進んでおり、これを加速させようというものです。

 米国との間で高度な軍事情報の共有によって、集団的自衛権の行使や海外での共同作戦が実質的に可能になります。アーミテージ元米国務副長官は「米英同盟を日米同盟のモデルにすべきだ」と提起しましたが、情報共有の面でも日米同盟を米英同盟なみに引き上げようというもの。

 しかも、イージス艦の情報漏えい事件をはじめ、自衛隊からの軍事情報漏えいが相次いでいることから、防衛省などには危機感があります。

 今回の2プラス2で、「軍事情報保護」の重要性を確認することで、「米国と戦争できる国」づくりを加速させようという狙いです。(竹下 岳)



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