2007年5月3日(木)「しんぶん赤旗」
日米安保戦略会議
「集団自衛権行使」競う
自民・額賀氏 “改憲前に憲法解釈で”
民主・前原氏 “武器輸出原則見直せ”
自民・公明の与党や民主党の国防族議員でつくる団体や米国のシンクタンクなどが主催する「日米安全保障戦略会議」が一日、ワシントンで開かれました。日本からは自民党の額賀福志郎前防衛庁長官と民主党の前原誠司前代表らが出席。海外での武力行使をも可能にする集団的自衛権の行使を要求するなど、タカ派発言を競い合いました。
ミサイル迎撃で
額賀氏は、米国向けに発射された弾道ミサイルに対し、日本は迎撃できないとしている政府の今の憲法解釈について「放置していいのか」と強調。「憲法を改正し、集団的自衛権を行使できると明らかにすべきだが、改正までの間は、憲法解釈を見直すことにより、行使を認めるべきだ」と主張しました。
前原氏は、額賀氏が挙げた「ミサイル防衛」の例のほか、朝鮮半島有事の際に、米軍の武力行使と一体化する形での後方支援ができないとされている現行の憲法解釈も「非現実的だ」と非難しました。
また、海外で自衛隊が活動している際、「他国の艦船や他国の要員を守れないという今の憲法解釈もおかしい」と述べ、「望むべきは憲法改正をして、国民にわかりやすい説明が必要だが、いますぐ解釈見直しを行い、行使できる環境を整えるべきだ」と求めました。
額賀氏と前原氏は、これまで政府でさえ建前としてきた武器禁輸原則の緩和でも、声をそろえました。
例外とするケースを拡大しながらも、基本的には、あらゆる国への武器輸出を禁じている今の政府の原則について、額賀氏は「すべてのケースに適用するしゃくし定規的な運用を改める」ことを要求。輸出先の国が、武力紛争の当事者ではなく、大量破壊兵器の拡散を行っていないケースであれば、禁輸原則を緩和するよう求めました。
前原氏も、「日本の(自衛隊の)装備をより現代化していくための足かせになっている武器輸出原則の見直しは、政治の責任として行うべきだ」と述べました。
トマホークでも
このほか額賀氏は、他国の弾道ミサイル基地を攻撃することについて「自衛権の範囲内だ」と強調。そのために、「巡航ミサイル・トマホークのような精密誘導兵器が必要かどうか議論し、合理的結論を出さなければならない」と求めました。
一方、前原氏は冒頭、「今は野党だが、安全保障政策は現実路線」「外交安全保障の基軸は日米同盟関係だ」と強調。「とにかく日米同盟関係の質を高める。野党の立場から、日米同盟強化に向けて努力していきたい」と表明しました。
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