2007年5月3日(木)「しんぶん赤旗」

米大統領

イラク撤退に拒否権

戦費確保めぐり混迷


 【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領は一日、イラク、アフガニスタンの戦費を盛り込んだ二〇〇七会計年度追加予算に対し、イラクからの米軍撤退期限を設けているとして、拒否権を発動しました。予算は廃案になる見通しで、国内の根強い反戦世論に後押しされた議会の抵抗で、ブッシュ政権は困難に直面しています。


 ホワイトハウスで声明を発表したブッシュ氏は、同予算が遅くとも十月一日に撤退を開始するよう求めていることについて、「いつ撤退を始めるかを敵に教えるというのは理解できない」「戦闘中の司令官に不可能な条件を押し付けるものだ」と非難。「対テロ戦争」と無関係の、緊急でない予算が盛り込まれていることも批判しました。

 またこの問題を議論するため、民主・共和両党の議会指導部をホワイトハウスに招待したことを明らかにしました。

 一日は二〇〇三年にブッシュ氏がイラクの「大規模戦闘」終結を宣言して四周年。議会の民主党指導部はこの日を選んで予算案を送付しました。

 同氏の拒否権発動の表明を受けて、民主党のリード上院院内総務は「拒否権を発動するなら、大統領にはこの戦争を終わらせる計画を説明する責務がある」と指摘。ペロシ下院議長は「大統領に白紙委任状を与えるつもりはない」と強調。ただ「共通の基盤を見いだすため、大統領と協力したい」と表明しました。

 大統領の拒否権を覆すには上下両院で三分の二の賛成が必要ですが、その見通しはありません。

 米メディアは、撤退期限を削除する代わりに、イラク政府が達成すべき「指標」を盛り込む案が検討されていると伝えています。ただ民主党内の反戦議員は撤退期限の削除に強く反対しており、決着には時間がかかりそうです。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp