2007年5月4日(金)「しんぶん赤旗」

主張

2プラス2

軍事秘密強めて何を狙うのか


 日米安全保障協議委員会(2プラス2=外交・軍事担当閣僚協議)は一日、「同盟の変革―日米の安全保障および防衛協力の進展」と題する共同文書を発表しました。

 一年前の米軍再編合意の「着実な実施」とともに、新たに、軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))締結への「実質的合意」、日米軍事同盟と北大西洋条約機構(NATO)の協力をもりこんでいます。「日米同盟関係にさらに重み、厚みを加える」(麻生外相)ことは、日本と世界の平和をいっそう危険にし、アジア諸国民の警戒心を高めるだけです。

アメリカの押し付け

 会談後、アメリカのゲーツ国防長官は、「国際的な平和と安全に積極的な貢献をすることに日本が戦略的な重要性を置いている」とのべました。安倍首相はさきに「自衛隊が海外での活動を行うことをためらいません」と公言しました(NATO理事会での演説)。安倍内閣の異常な対米追随姿勢がアメリカに、日本が世界各地でともにたたかうとの期待を加速させているのです。

 ライス国務長官は「日米同盟を強化するという目標を追求する」とのべました。ともにたたかい守り合う米英攻守同盟を目標にしています。共同発表文書がNATOと日米同盟を「補完的」と明記し協力をうたっていることでもこれは明白です。

 今回の合意で見過ごせないのは、日米両政府が軍事情報包括保護協定を締結することに「実質的合意」したことです。

 GSOMIAはアメリカの軍事秘密主義を条約化したものです。協定はアメリカと「同程度の保護」を義務付けています。アメリカは秘密を漏えいした者も入手した者も、ともに十年以下の懲役から死刑としています。今回は、国民の反発を恐れて立法措置を先延ばしにしましたが、早晩、アメリカが法的措置を求めてくるのは避けられません。

 いまでも日本は軍事情報を何でも秘密にする軍事秘密大国です。イラクで航空自衛隊がどれだけの米兵と武器を運んでいるのかさえも秘密です。イージス艦の情報が漏れたと大騒ぎをしていますが、憲法違反の自衛隊が国民の知る権利をふみつけにして、軍事を秘密にすること自体、憲法九条に照らして許されません。

 GSOMIAは直接には政府・自衛隊、軍需産業など秘密を知る者の規制を対象にしていますが、いずれメディアや一般国民を法律で規制する危険を伴っています。すでに、防衛省は「部外者からの不自然な働きかけへの対応要領」を策定したと伝えられます。

 戦前、天皇制政府が軍機保護法を制定して、国民の目と口をふさいで侵略戦争に突き進んだことを忘れるわけにはいきません。GSOMIAは日本の軍事秘密主義をさらに拡大・強化して、アメリカとともに海外で戦争していく実態を覆い隠す役割を果たします。GSOMIAの締結を認めるわけにはいきません。

広がる反対運動

 日米両政府がいくら米軍再編合意の「着実な実施」をくりかえしても、岩国市や座間市の再編反対の姿勢に変わりはありません。沖縄では普天間基地の即時閉鎖とアメリカ本国への早期撤去を訴える伊波洋一宜野湾市長が大差で再選されました。沖縄県も日米両政府の新基地建設計画を公然と承認してはいません。巨額の血税を投入することにも反発が強まっています。

 日米軍事同盟の侵略的変質と米軍再編計画に反対する運動を広げることがいよいよ重要です。



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