2007年5月10日(木)「しんぶん赤旗」
まともな仕事を
5・20青年大集会
当たり前の生活したい
働く場がない、働いてもアパートも借りられず食べていけない―。ワーキングプア(働いても生活保護以下の生活しかできない)の深刻な広がりに「こんな働かせ方はおかしい」と青年たちが声をあげ、たたかいに立ちあがっています。東京・明治公園で二十日正午から開かれる「全国青年大集会」には、全国の青年たちが、たたかい、要求を持ち寄り、声をあげます。
ネットカフェ脱出したが… 24歳男性
青森県から仕事を求めて上京、ネットカフェに一カ月にわたって寝泊まりしていたA君(24)も青年大集会に参加します。
仕事を転々
A君がネットカフェで寝泊まりするようになったのは三月から。東京・渋谷の飲食店の仕事が午前八時から午後十一時までかかるため、アパートに帰るのは午前零時すぎ。寝るだけに帰るのがしんどくなり、勤め先の近くにあったネットカフェに泊まってみたことがきっかけでした。
利用者ごとに独立したスペースがあるので体を横たえることもでき、インターネットが使い放題で、ジュース類も飲み放題。「案外快適だな」と思いました。
しかし、区切られているとはいえ、隣には見知らぬ人がおり、落ち着いて眠れません。週六日カフェで泊まり、休日の日曜日に家に帰る生活です。
「こんな生活がいつまで続くのか、このままではホームレスになってしまう」と思っていたところ、友人が勤め先近くに部屋を探してくれ、引っ越し。わずか一カ月でしたが、“ネットカフェ難民”から抜け出すことができました。
A君は、きちんとした正社員の勤め先がなく、二十一歳のとき、東京ならたくさんあるだろうと思って上京しました。ところが、二十社以上を回っても採用はゼロ。常勤・契約社員はおろか、荷物の仕分け作業のバイトさえ不採用になり、「自分はだめなのか」と落ち込んでしまいました。
やっと採用されたのが、NTTの回線工事の下請け会社の契約社員。しかし、残業は月五十時間以上あるのに、残業代が払われるのは月二十時間まで。賃金は十七万円にしかならず、それでも二年働けば正社員になれるといわれたのを信じて、文句もいわずに働きました。結局、二年すぎても正社員にしてもらえず昨年、辞めてしまいました。
「仕事先は腐るほどあるけど、パートや派遣など不安定で賃金の安い仕事ばかり。やっと就職できても、コマのように働かされる。安定した仕事について結婚もしたいけどこれじゃむりですよ」
健康が心配
いま働いている飲食店は従業員十人足らず。かなりの長時間労働ですが、賃金は月二十五万円で、家賃に十万円近くが消えてしまいます。仕事はおもしろく、来月から正社員になれるのでやりがいはあります。
心配なのは健康です。できれば長く働きたいので、人を増やして労働時間を短くしてほしいと思います。正社員になったら店主にいうつもりです。
「以前は金をかせぐことしか考えていなかったけど、今は当たり前の生活ができることが幸せなんだと思うようになりました。ところが、まともな仕事がない。どこの会社も人をできるだけ安く、長く働かせることしか考えていない。政府もそれをやめさせようともしない。こんなことを続けていたら、日本はだめになってしまう。黙っていないで声をあげていかなくちゃいけないと思います。そんな思いを持ち寄る二十日の青年大集会にはぜひ行ってみたい」
たたかえば 変えられる
実行委員会 姫井二郎さん
全国青年大集会実行委員会(十八団体で構成)の姫井二郎さん(民青同盟委員長)に話を聞きました。
私たち青年は、いいたいことを胸のなかにいっぱい抱え、生きています。先日、千葉県の松戸駅前で出会った看護師さん(四月から国立大学病院に勤務)は「十二時間勤務の上に毎日三時間の残業をしている。仕事をこなせない自分のせいだと思うとやめたくなる」と話しました。
全国でネットカフェ難民調査をすすめています。青年の間に広がる貧困が想像以上の事態で、驚きました。二年も寝泊まりし、食事はスープ、ドリンク…。「人間として切り捨てられていく気がする」と話した女性もいました。いいたいことがいっぱいある。しかし、声をあげることができないでいるのです。
調査行動をメディアが注目し、社会問題として報道しています。私たちの行動が、青年たちのいいたいこと、胸に秘めていることを社会に伝える役割を果たし、世論を動かそうとしています。
声をあげれば変えていけます。「すき家」に働き解雇された青年は、首都圏青年ユニオンに加わり、撤回させ、一万人分のサービス残業代を支払わせました。徳島県の光洋シーリングや日亜化学では、直接雇用を実現させました。
青年集会は四回目になります。ここ二年半で青年たちが地域に四十を超える労働組合やネットワークをつくり、解雇撤回や偽装請負の是正など、さまざまな要求を実現しています。
こうしたたたかい、要求、声をそれぞれが持ち寄り、また参加できない多くの青年たちの声も持ち寄って交流し、連帯を深め、つくってきた流れを太く広くし、職場や政治を変える力にしていきたいと思っています。
11の分科会で開幕
志位委員長あいさつ
全国青年大集会の会場は東京・明治公園です。
正午開会で、午後一時十五分まで十一の分科会で交流します。本集会は午後一時二十分から。すき家、光洋シーリング、松下プラズマディスプレイのたたかい、自立支援センター・もやいのとりくみ、最低賃金での生活体験が報告されます。
日本共産党の志位和夫委員長があいさつします。午後三時、アピールウオークを出発します。
分科会は次の通り。
○医療 安心して働ける医療職場に
○教育 先輩教師と考える働きがい
○保育・学童 子どもたちの笑顔を守る
○公務 公務職場の現状と働きがい
○福祉・介護 いい介護がしたい
○派遣・請負 直接雇用へ各地の運動
○最低賃金 最低賃金を時給千円に
○アルバイト アルバイトの労働相談
○ネットワーク 青年ユニオンやネットワークの経験交流
○進路・仕事 三上満氏と語る進路と仕事
○学費、就職難 高学費や就職難を交流
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