2007年5月11日(金)「しんぶん赤旗」

首相の靖国供物に批判


アジア諸国との不安定な関係に影響

海外メディア

 海外のメディアは九日、安倍首相が四月二十一日に靖国神社の春季例大祭にあわせ供物を奉納していた問題をいっせいに伝え、中国、韓国の両国政府の「懸念」や「遺憾」表明にふれて今後のアジア諸国との関係への影響に注目しています。

 パリ編集の国際英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(アジア版)は一面トップで「靖国への小さな供物は、より大きな意味を持っている」との見出しで報道。「表面上は小さなしぐさだが、日本帝国軍隊のアジアへの行軍の記憶が癒やされていない近隣諸国と日本の不安定な関係においてはより大きな象徴的な意味をもたらしかねない」と指摘しています。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)も一面で取り上げ、「安倍首相は中国や韓国との政治的関係を維持する一方で、仲間の国粋主義者が重視する施設に対し明確に栄誉を与えようとした」とのべています。

 シンガポール紙・聨合早報は、「安倍、靖国神社に供物送る。日本のメディアは中国や韓国との関係が再び挫折するのではないかと懸念示す」と東京通信員の記事で伝えました。

戦争責任に対する謝罪と反省の放棄

韓国各紙

 安倍晋三首相の靖国神社への供物奉納について、九日付の韓国の各紙は批判記事を掲載し、靖国参拝に対する海外からの批判を避けるための目くらましだと批判しました。

 朝鮮日報は「(安倍首相は)海外の世論を意識して参拝は避けたが、供物奉納を通じ、保守派たちに(参拝したいという)本心を見せた」と指摘しました。

 韓国日報は社説で、首相の奉納が「靖国神社への強い情緒的連帯を表明する行為」だった可能性に言及。靖国参拝に「消極的」な姿勢で外交摩擦を避けてきた安倍首相が「『心は常に靖国にある』とのメッセージを投げるなら、その刺激性は参拝よりもさらに大きい」と述べました。

 文化日報も社説で、靖国神社には、A級戦犯だけでなく、慰安所を経営し戦犯として有罪判決を受けた民間人も合祀(ごうし)されていると指摘。供物奉納は「戦争責任に対する謝罪と反省の放棄であり、従軍慰安婦の苦難と苦痛を再び無視する誤った所業だ」と断じました。



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