2007年5月15日(火)「しんぶん赤旗」
イラク戦で災害対応遅れ
各州に批判広がる
“州兵の装備は56%”
米国で竜巻や山火事などの自然災害が相次ぐなか、本来、そうした緊急事態に対応するはずの州兵部隊とその装備の不足が各州で問題となっています。イラク派兵の長期化によるしわ寄せです。増派や派遣期間の延長を進めるブッシュ政権のイラク政策はますます矛盾に直面することになります。(ワシントン=山崎伸治)
「国土の安全保障はまず地元の安全保障から。われわれには州兵を立て直す責務がある」
十二日、土曜恒例の大統領のラジオ演説に対抗する民主党のラジオ演説で、ニューメキシコ州兵元上級将校のメルビン・モンタノ氏が強調しました。
四日夜に中西部カンザス州グリーンズバーグで建物の約95%が被害を受ける大型竜巻が発生。カリフォルニア、フロリダ両州では大規模な山火事が発生するなど、米国内各地で災害が頻発し、州兵の対応の不備をめぐる議論が起きています。
01年以来で最低
カンザス州のセベリウス知事は七日、ヘリコプターやトラックなど州兵の装備がイラクに送られたために復旧作業が難航していると表明。これに対し、ホワイトハウスのスノー報道官は同日、「装備が必要ならば、届くはずだ」と反論しました。
しかし現在、州兵が部隊数も装備も不足していることはすでに明らかになっています。
米議会の政府監査院(GAO)は一月に公表した報告書で、「連邦政府が州兵を海外の任務に極度に利用しているために、州が行う国内の任務に利用可能な装備が不足している」と指摘。米国防総省州兵局のブラム長官は四月十一日の上院歳出委員会での証言で、「現在の州兵は完全に準備の整った兵力ではない」と述べています。
ゲーツ国防長官も五月九日の同委員会での証言で、装備が届いているのは56%にとどまり、「少なくとも二〇〇一年以来、最低の割合」であることを認めています。
さらに増派方針
こうした状況であるにもかかわらず、国防総省は一月に州兵の海外派遣期間を延長する方針を提案。四月には州兵の増派を決めています。
各州の知事からは、「多くの装備がイラクに行き、部隊が戻っても装備は戻ってこない」(カリフォルニアのシュワルツェネッガー知事)といった不満の声が上がっています。現在全米知事連盟の会長を務めるアリゾナ州のナポリターノ知事は十一日、同連盟の執行委員会でこの問題を取り上げる意向を示しています。
州兵をイラクやアフガニスタンなど海外に派兵した結果、国内での危機に対応できなかったことは、二〇〇五年八月末のハリケーン「カトリーナ」、「リタ」の襲来の際にすでに明らかになりました。その際も、ブッシュ政権の対応が批判されましたが、イラク戦争を優先する姿勢は一向に変わりがありません。
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