2007年5月18日(金)「しんぶん赤旗」
“靖国DVD”で授業
青年会議所作製 文科省が採用
石井議員追及
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日本の侵略戦争を「自衛、アジア解放のための戦争」だったと肯定・美化するアニメーションDVDを教材にした教育事業が、文部科学省の研究委託事業「新教育システム開発プログラム」に採用され、全国で実行されようとしていることが十七日、明らかになりました。衆院教育再生特別委員会で日本共産党の石井郁子議員が取り上げたもの。
石井氏は「過去の戦争への反省とおわびを述べた一九九五年の『村山談話』に反するものだ。委託をただちに撤回し、上映活動をやめさせるべきだ」と追及しました。
問題の教材は、日本青年会議所が作製した「誇り」と題するDVD。青年会議所は、採用されたことを大宣伝し、全国の学校でDVDを使った教育事業を行おうとしています。すでに二月から六月にかけ、全国の学校など九十三カ所で実施または予定されています。
DVDは、戦死した青年が現代に現れ、女子高生を靖国神社に誘う内容。日本の侵略戦争を「大東亜戦争」と呼び、「愛する自分の国を守りたい、自衛のためだった」と教えています。日本の植民地支配については、「道路を整備し学校を設置した」というだけで、侵略・加害の歴史にはふれていません。
石井氏の追及に、安倍晋三首相は「まだ見ていないが、日本共産党の立場から評価しているのではないか」などと問題をすりかえようとしました。石井氏は「村山談話とまったく違う内容を学校で普及することは政府の立場とも相いれない」と指摘。伊吹文明文科相は採用した責任にはふれなかったものの、「私が校長なら使わない」と答えました。
石井氏は「安倍政権が押しつけようとしているのは、戦前の価値観そのものだ」と批判しました。
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