2007年5月22日(火)「しんぶん赤旗」
介護保険料負担を拡大
有識者会議中間報告
30歳以上対象など
介護保険制度の対象拡大について議論してきた厚生労働省の有識者会議(座長=京極高宣・国立社会保障・人口問題研究所所長)は二十一日、介護保険料を負担する年齢の引き下げなどを求める中間報告をまとめました。現行は「四十歳以上」の対象年齢を、「収入があるすべての人」か「三十歳以上」に拡大するという二案を示しています。
中間報告はこのうち、年齢を問わず収入のある人すべてに保険料を負担させる案が多数意見だったと記述。介護保険と障害者福祉を一本化して、現在はおもに六十五歳以上の高齢者が利用している介護保険のサービスを、介護が必要な若年者や障害者にも拡大する「介護保険制度の普遍化」を図るとしています。
介護保険の「普遍化」は、“負担あって介護なし”といわれる事態を障害者などにまで拡大するものです。
もう一つの三十歳以上に拡大する案は、障害者福祉との統合はせず、「高齢者の介護保険」という現行制度を維持したうえで、対象年齢を三十歳まで引き下げるというものです。
また、三十歳への引き下げを実施したあと、収入があるすべての人へと「順次、範囲拡大を図っていくという考え方もあり得る」としています。実施時期については、当初二〇〇九年度としていましたが、中間報告では今後の検討課題として明記しませんでした。
同時に、障害者団体からは「十分な理解が得られていない」と指摘。今後の進め方については、具体化に向けた検討作業を継続しつつ「国民的合意形成に向けた取組に努める必要がある」としています。
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