2007年5月26日(土)「しんぶん赤旗」
緑資源機構とはどんな組織ですか?
〈問い〉 緑資源機構とはどんな組織なのですか?(京都・一読者)
〈答え〉 緑資源機構は、特殊法人の見直しで2003年10月に発足した農林水産省所管の独立行政法人です(前身は森林開発公団と農用地整備公団を統合した緑資源公団)。従業員約750人、本部は川崎市。
造林、林道整備、農地開発などを主業務としており、現在、「緑資源幹線林道」を全国七つの山地(北海道、北上、最上・会津、飛越、中国、四国西南、祖母・椎葉・五木山)で建設しています。延長2116キロに及ぶ林道で、すでに1300キロが完成していますが、各地で自然破壊が問題になっています。
同機構の予算規模は03年度〜07年度の5年間で4600億円を超えます(うち林道関係費だけで約3000億円)。この3分の2が国の補助金で、残りは財政投融資からの借り入れです。つまり大半が税金です。
今回、公正取引委員会が摘発したのは、林道整備の測量や地質調査などの入札をめぐっての官製談合の疑いです。林道整備をめぐって、機構本部の林道企画課長のほか、全国8カ所にある地方建設部の林道課長が、受注を希望する法人やコンサルタント会社との窓口となり、受注調整をしていたのです。
この背後には、発注元の緑資源機構と受注側の五つの公益法人の役員計117人中41人が天下り(旧建設省など3人を除く38人は林野庁OB)が占めていることがあります。緑資源機構と森公弘済会の理事長、林野弘済会の会長の3人ともが林野庁の元長官、2人の常務理事、5人の常勤理事もみんな林野庁ОB―つまり「林野庁一家」が、発注側と受注側にわかれ、税金をくいものにしている構図が浮き彫りになったのです。
林野庁OBの自民党・松岡利勝農水相は、今回捜索を受けた法人や会社などから05年までの10年間に852万円の献金を受けていたことも明らかになっています。
全国大規模林道問題全国ネットワーク(代表・河野昭一京都大学名誉教授)は、声明を発表し、「無目的な“林道”と言う名の大規模道路建設を口実に、日本各地の原生的自然を破壊し続けてきた」「巨額の国民の税金を非合法的に、しかも大規模な自然破壊行為に投資しつづけてきた、このような組織の存続は到底社会的にも容認され得ない」と「緑資源機構」の廃止と、「大規模林道計画」の中止を訴えています。(喜)
〔2007・5・26(土)〕