2007年5月28日(月)「しんぶん赤旗」
住民税 来月 増税
“火消し”に躍起
国など宣伝強めるが…やっぱり1.7兆円負担増
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「変わらない」と宣伝しても、増税の事実は消せず――六月からの住民税増税を前に、政府や地方自治体が対応に追われています。
「税源移譲は増税ではありません」「(納税額は)基本的に変わりません」。公共交通機関の車内に、こんな中つり広告が目立ちはじめました。
総務省が協力し、全国市長会など地方六団体が共同で宣伝。JR、私鉄、地下鉄の全国主要路線に中つりと駅張あわせて約六万一千五百枚を張り出す計画です。
全国市長会の担当者は「地方分権の一環である三兆円の税源移譲は増税ではないことを周知しています」と語ります。
税源移譲だけでは、所得税と住民税をあわせた負担額は基本的には変化がありません。しかし、自民党、公明党が決めた定率減税の廃止(所得税一月、住民税六月)による一兆七千億円の増税が国民を襲います。
「負担は変わりません」と宣伝してきた総務省も定率減税の廃止にふれざるを得なくなっています。広報誌『総務省』五月号での特集「住民税が変わります」では「定率減税はなぜ廃止されたのですか」との問いを設け、「経済状況が改善していることから、縮小・廃止」と説明しています。
定率減税は「景気対策」の一環として、一九九九年に、大企業減税(法人税率引き下げ)、大金持ち減税(所得税の最高税率引き下げ)とともに導入されました。ところが、自民・公明政権は、史上空前のもうけをあげる大企業への減税はそのままにし、低迷する家計を直撃する定率減税全廃だけを決めました。
昨年六月には、定率減税半減と高齢者増税に伴い高齢者の住民税が大幅に増加し、全国の自治体に問い合わせが殺到。今年は、昨年を上回る問い合わせが予想されます。
関東地方のある市では、臨時電話を増設、市民税課以外の職員も動員して、対応する計画です。六月には、臨時広報を発行する予定です。
「昨年は高齢者だけでも、数千件の問い合わせがありました。今年は、窓口の職員は、昼休みなしで対応する予定です」と市民税課幹部。「私たちも大変ですが、市民の方が、大変ですから…」
別の自治体では「定率減税の廃止等により、税負担が増えます」と負担増額の試算を示した説明文を、広報にはさんで全戸配布しました。
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