2007年5月29日(火)「しんぶん赤旗」
ミュージカル舞台団員
マッスル労組を結成
賃下げ撤回求め提訴
体操選手らの超人的な技で魅了する人気の舞台「筋肉(マッスル)ミュージカル」の団員が二十八日、都内で記者会見し、全労連加盟の映演労連フリーユニオン「マッスルミュージカル支部」を結成したことを明らかにするとともに、組合員に対する就労排除など会社側による不当労働行為の救済を求めて同日、東京都労働委員会に申し立てました。また、正規賃金支払いを求める仮処分を求める訴えを東京地裁に起こしました。
筋肉ミュージカルを運営するのは、デジタルナイン(東京都千代田区、樋口潮社長)。二〇〇一年の初公演から昨年までに約八十万人が来場する人気ぶりで、団員は約七十人。同支部によると、五月下旬に開演するラスベガスでの一年公演にあたって同社は三月、渡米する団員(三十人)を募集。家庭の事情などから応じなかった約四十人に対し、一方的に賃金を20%引き下げ、うち六人は50%もの賃下げがおこなわれました。
団員が会社に交渉を求めても聞き入れられなかったことから四月下旬、アクロバット体操が専門の磯前方章さん(31)を委員長とする支部を結成。
昨春公演から参加する五人の組合員は今月九日以降、会社から舞台を降ろされ、職場への立ち入りもできません。団体交渉は今月十七日まで開かれず、次回交渉も延期されたままです。
団員には労災保険もかけられておらず、ケガをするとアルバイト契約に切り下げられる事例もあるといいます。今回、渡米した団員の滞在費は全額自己負担です。
組合では、(1)就労排除の撤回(2)賃下げ前の賃金に戻すこと(3)労災適用の申請(4)渡米滞在費は全額会社負担とする―などを求めています。
会見した磯前委員長は「私は賃金を50%引きされ、十三万数千円しかない。マッスルミュージカルをよくしたいという思いから公表せざるを得なかった。舞台に出ているメンバーのためにも、ファンのみなさんに応援してもらいながら頑張りたい」と話しました。
ナイン側は「不当労働行為はないと認識している。交渉に応じている最中の申し立ては不本意」と話しています。
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