2007年5月30日(水)「しんぶん赤旗」
「消えた年金」問題に関する緊急要求
2007年5月29日 日本共産党国会議員団
日本共産党国会議員団が二十九日、発表した「『消えた年金』問題に関する緊急要求」は次の通りです。
五千万件をこえる年金記録が「宙に浮き」、受給権消滅や年金減額の原因となっている「消えた年金」問題は、公的年金にたいする国民の信頼をゆるがす深刻な問題です。
今回の問題は、保険料を納めてきた国民には何ら非がなく、ひとえに国に責任があることは言うまでもありません。しかも、厚生労働省は、「基礎年金番号」制度を導入する過程で、すでに、「基礎年金番号」に対応させられない厚生年金や国民年金の納付記録が膨大になることに気づいており、今回の「宙に浮いた」年金記録の問題を十分に把握してきたのです。にもかかわらず、抜本的な対策をとらず、十年が経過し、国民年金については、問題解決に必要な台帳まで廃棄されてしまっています。政府、とりわけ歴代の厚生労働大臣の責任は、きわめて重大です。
ところが、政府は、記録を紛失された被害者に対して、過去の保険料納付の立証責任を負わせる逆立ちした対応をとり、仮に立証できても時効を適用して五年以上さかのぼっての支払いを拒否してきました。保険料取り立てには、きびしい差し押さえを実施し、社会保険庁解体・民営化法案では、国民年金保険料の滞納者に対して、まったく別の制度である国民健康保険の通常の保険証を発行しないという、理不尽きわまりない制度を盛り込んでいます。
社会保険庁を解体し、年金業務を六分割して民営化する今回の法案は、「消えた年金」問題の解決をあいまいにし、国が責任をもって解決することを不可能にするものであり、撤回することを求めます。
政府は、問題の全容を国民の前に明らかにし、自らの過失と責任を認めて謝罪するとともに、年金記録紛失という被害にあった国民すべての年金受給権を守るためにあらゆる手段をつくすべきです。
そのために、少なくとも下記の四点については、ただちに実施することを要求します。
1、政府は、年金受給者について調査を実施するとしていますが、それだけでは不十分です。調査対象は、特定の年齢層に限定するのではなく、すべての加入者とすべきです。また無年金者も調査対象にすべきです。
2、政府は、確定している年金記録だけを通知し、自分の年金記録が正しいかどうか「照会の申出を勧奨する」などと、国民一人ひとりに「宙に浮いた」年金記録があれば申告せよという態度をとっています。これは、ほんらい国が果たすべき責任を放棄し、被害者である国民に責任を転嫁するものであり、許されません。
政府は、「宙に浮いた」年金記録の情報を、該当者と思われる人にきちんと提供し、国の責任で、この問題の解決をはかることを求めます。
3、年金記録が消失している被害者について、文書による記録証拠がなくても、国が責任をもって調査し、状況証拠にもとづいて解決するべきです。
4、国民の間に不安が広がっています。国の責任でただちに、国民の身近な窓口で相談ができるような特別の体制をとることを求めます。
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