2007年5月31日(木)「しんぶん赤旗」
反戦の母「引退」表明
戦争支持の「二大」政党に失望
米のシーハンさん
【ワシントン=山崎伸治】息子がイラクで戦死したことの責任をブッシュ米大統領に追及しようと、大統領自宅農場前にキャンプを張るなど、イラク反戦運動の象徴となってきたシンディ・シーハンさんが、イラク戦争を推進した共和、民主の二大政党を批判、運動からの「引退」を表明しました。
米国の戦没者追悼記念日となった二十八日に公表した書簡で明らかにしました。そのなかで、「この一年にわたって熟考した」結論として、共和党だけでなく、民主党からも攻撃されたことを第一にあげました。
「私がブッシュ大統領と共和党だけに抗議していたうちは、いわゆる左派のお気に入り」だったのが、同じ批判を民主党に向けるようになったとたん、「『左派』が私に対し、右翼が使うような侮辱的言動を始めた」と指摘。「もしこの腐敗した『二大』政党制に代わるものを見つけられなければ、米国の代議共和制は死んでしまう」と民主・共和のいずれの党もイラク戦争を支持してきたことを批判しました。
反戦キャンプのために購入した土地も手放すことも表明。「反戦運動の『顔』は辞める」としていますが、縁の下で活動の支援を続けていく考えのようです。
シーハンさんは二〇〇五年八月六日、テキサス州クロフォードのブッシュ氏の農園前で、同氏に面会を求める座り込みを始めました。たった三人の女性によるこの行動が、二十六日間に約一万人の反戦活動家が集結した「キャンプ・ケイシー」へと発展。米国の反戦運動を再活性化させたと言われました。
その後も米国内各地の反戦集会やデモに精力的に顔を出して運動を激励。ベネズエラや韓国、ヨルダンなど海外にも活動を広げていました。
■関連キーワード