2007年6月1日(金)「しんぶん赤旗」
おはようニュース問答
侵略正当化のDVDに 国がお墨付きだなんて
陽子 日本青年会議所がつくった「靖国DVD」が問題になっているわね。
晴男 「誇り」というアニメのDVDだね。過去から来た青年が高校生を靖国神社に連れていき、日本の戦争は「国を守るための戦争」「アジア解放の戦争」だったと教える内容なんだってね。
陽子 そうなの。青年は、日本が中国で戦争したのは「ロシアがさまざまな謀略を日本にしかけたからだ」とか話すの。侵略戦争を美化、正当化しているのよ。
学校で実施狙う
晴男 過去の戦争への「反省とおわび」を表明した一九九五年の村山首相談話にも反する内容だよ。そんなものを学校でやるなんてとんでもない。
陽子 ところが文部科学省は、そのDVDを使った青年会議所の「近現代史教育プログラム」を委託研究事業に採用したっていうじゃない。
晴男 安倍首相も青年会議所の会頭からそのDVDを受けとって、「教育再生の参考にする」といったらしいね。
陽子 さすが、「靖国派」ね。「プログラム」ではDVDを見た後、会議所のメンバーと生徒がグループ討論するんだけど、メンバー用の資料には「戦争後の裁判で悪い国とされたことを払しょくすることに重点をおく」と書かれているのよ。
晴男 生徒たちは「自分の国を守るために戦争をしたなんて初めて知りました」と感想を書いているそうじゃないか。
陽子 怖いことね。日本青年会議所は安倍首相の“激励”や文科省のお墨付きを得たことを宣伝材料にして、プログラムを地元の学校で実施するよう全国の地方青年会議所に呼びかけているわ。
委託を取り消せ
晴男 国会で日本共産党の石井郁子衆院議員がこの問題を追及したら、伊吹文科大臣は「私が校長なら使わない」と答弁したんだってね。
陽子 日本共産党は各地でDVDを学校に持ち込ませないよう教育委員会への申し入れをやっているけど、あちこちで「すすめられない」「適切でない」との答えが返ってきているそうよ。
晴男 大臣も「使えない」というんだから、文科省はすぐに委託を取り消すべきだよ。
陽子 どんどん批判の声をあげていきたいね。
〔2007・6・1(金)〕
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