2007年6月4日(月)「しんぶん赤旗」
新基地予定地の文化財調査
市広報誌配布に施設局「待った」
「米軍と未調整」理由に“介入”
沖縄・名護
沖縄県名護市の辺野古崎への米軍新基地建設に向けた違法な「環境現況調査(事前調査)」で、自衛隊の「軍艦」を派遣して県民の批判をかった防衛省。こんどは新基地予定地の埋蔵文化財調査を報告した名護市の広報誌の配布にストップをかけました。理由は「米軍との調整が済んでいない」。埋蔵文化財の調査報告にまで“介入”してくる国の暴走ぶりを追いました。(山本眞直)
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「待った」をかけたのは那覇防衛施設局。名護市の広報誌『市民のひろば』六月号を問題にしました。
同誌は、今年一月中旬から二月末にかけて実施した、新基地建設に伴う米海兵隊キャンプ・シュワブ内の埋蔵文化財調査の「概要」を見開きで特集しました。
市は完成した広報誌二万部を五月三十一日午前から、市内の支所などに配布を開始しました。ところが、同日午後、那覇防衛施設局側が基地内の遺跡調査の現場写真について米軍からの「許可を得ていないので調整したい」として、配布の一時見合わせを通知してきました。
しかし市は対応を協議した結果、予定通り配布しました。市側は「担当した市教育委員会が事前に内容を施設局側に説明してある。ゲラもファクスで送信するなどのやりとりで了解を得ていた。配布しだしてから米軍との調整が必要といわれても困る」(広報関係者)といいます。
同関係者は、施設局との事前のやりとりでは写真などの取り扱いで「米軍の許可が必要」との説明はなかったといいます。
米軍基地内の文化財調査の写真をめぐる那覇防衛施設局の強権的態度に自治体関係者の反応は厳しいものがあります。
普天間基地の即時閉鎖・即時撤去をかかげる宜野湾市の幹部は「那覇防衛施設局や政府の米軍優先姿勢の表れであり、地方自治の原則からしても広報誌の配布に米軍の了解や、政府が口出しするなどおよそ考えられない」と驚きを隠しません。
地元紙も「文化財調査にも“介入”してくる政府の慌てぶりに米軍への過剰な配慮が垣間見れる」(「沖縄タイムス」一日付)と国の異常さを指摘しています。
ヘリ基地建設反対協議会の大西照雄共同代表は「自衛艦の投入など政府の自治への乱暴な介入は目に余る。大本には自治体を米軍と自衛隊のコントロール下におこうという態度が透けて見える」と安倍政権の“暴走”ぶりを批判します。
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