2007年6月5日(火)「しんぶん赤旗」

「消えた年金」問題

問い合わせ各地で殺到

「自分のは大丈夫か」

社会保険事務所 来訪者3割増も


 五千万件を超える年金記録が「宙に浮いた」問題―。各地の社会保険事務所には、「自分の年金は大丈夫なのか」と問い合わせる人たちが殺到しています。東京社会保険事務局では、「電話での問い合わせ件数は把握できないほど。来訪者は通常の二、三割増のところもある」と言います。


 東京都北区の北社会保険事務所は、通常の相談者数は日に八十人ほどですが、年金記録問題がクローズアップされた先週明けから、「三割以上増えた。年金記録の確認となるともっと多くの人が来た」と、事務所課長は話します。

 同事務所から出てきた女性(60)は、現在、介護士をしています。転職の経験があり、「年金をもらえる年齢になったので、不安になり確認しに来ました。私の分は問題ありませんでした」とホッとした様子。「でも、もらえる年金額の低さには驚いた」と付け加えました。

 結婚後退職し、厚生年金から国民年金に切り替え、夫が個人事業から会社経営者になったため、また厚生年金に切り替えたという女性(52)は、「名前も年金の種類も変わっているので心配。社会保険事務所が民営化されたらますます不安だから、今のうちに確認しておこうと思って来た」と話します。

 同事務所の出入りを繰り返していた男性(60)は、五年前に早期退職し、現在は自営業を営んでいます。「厚生年金をもらえる年になったから、手続きに来た。二時間以上待たされている」といら立ちを隠しませんでした。

 結婚後の出産がきっかけで退職。その後離婚し、現在ケアマネジャーをしているという女性(55)。「名前は二回変わっているし、仕事も変わっているのでとても不安でした。私の年金は全部記録がつながってよかった」。しかし、二時間三十分以上も時間がかかり、仕事が気になり「ヒヤヒヤした」と話しました。

 日本共産党国会議員団は、「『消えた年金』問題に関する緊急要求」を発表(五月二十九日)。政府は自らの過失と責任を認めて謝罪するとともに、問題の全容を国民の前に明らかにし、年金記録紛失という被害にあった国民すべてを救済するためにあらゆる手段をつくすよう強く求めています。(岩井亜紀)



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