2007年6月6日(水)「しんぶん赤旗」

「消えた年金」誰のせい?

自公・民 非難合戦

歴代厚相・厚労相に共同責任


 「民主党の菅直人代表代行の責任だ」「導入したときの厚生大臣は小泉純一郎前首相だ」―。五千万件を超える年金記録が「宙に浮く」問題をめぐり、自民・公明の与党と民主党が責任押し付け合いの非難合戦を続けています。しかし、問われるのは問題の所在を知る立場にいながら、抜本対策をとらなかった歴代の厚相・厚生労働相全員の共同責任です。


 年金記録が「宙に浮く」きっかけになったのは一九九七年一月の「基礎年金番号」導入でした。それ以前は、就職や結婚による改姓などにより一人が複数の年金記録をもっていましたが、加入者一人に一つの年金番号を割り当てることにしました。ところが、統合先不明の年金番号が膨大に残されたのです。

 安倍晋三首相は演説で「先行き不明のシステムをつくったのは、民主党の菅さん」(二日、大津市)と批判。公明党は「菅元大臣の責任は重大であり、糾弾されてしかるべき」(四日の参院本会議、浮島とも子議員)と発言しました。

 これに対し、菅氏は「実際に基礎年金番号導入したのは次の小泉厚生大臣に代わった一九九七年一月」と、こちらも責任転嫁に躍起です。

 番号導入を決めた(九六年)のは、自民・社民・さきがけ政権である橋本龍太郎内閣で、そのときの厚相は菅氏。導入したときは、第二次橋本内閣の小泉厚相。今年二月に問題が表面化するまでの十年間、自社さ政権、自民・自由政権、自民・自由・公明政権、自民・公明政権などの九人の厚相・厚労相が、年金行政のトップにいたのです。

 公明党の坂口力厚労相時代の〇二年四月には、それまで市町村窓口がおこなっていた国民年金保険料収納業務を社会保険庁に移管しました。その際、市町村に国民年金被保険者名簿の保存・管理の義務をなくす「事務処理基準」改定をおこないました。

 この措置によって、全国市町村のうち約15%が名簿を廃棄してしまい、年金記録の照合に困難をきたしかねない事態を生んでいます。

 三日放送のNHKテレビ「日曜討論」で、自民党の丹羽雄哉総務会長、公明党の坂口氏、民主党の菅氏という歴代厚相・厚労相が顔をそろえました。しかし自らがトップにいたことは棚に上げ、「社会保険庁は『親方日の丸体質』だ」などと社保庁に責任を負わせる無責任な態度に終始しました。

 しかし、自民党の片山虎之助参院幹事長が三日のテレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」で発言したように、「共産党以外みんな政権に参画して、この問題に関係がある」というのが事実です。

 共同で責任を負う歴代大臣は、責任のなすりあいをやめて、国民に謝罪し、解決のためにまじめに力をつくすときです。(宮沢 毅)

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