2007年6月6日(水)「しんぶん赤旗」
イラク危険すぎる
軍事会社 撤退へ
【カイロ=松本眞志】英紙インディペンデント(電子版)は五月三十日、イラクで活動する民間軍事会社のいくつかが、「イラクが世界で最も危険な場所」だとして同国から撤退しようとしていると報じました。
同紙は、現在イラクで民間の軍事関連会社の四万四千人が活動しているとし、米上院議員の一人が「世界最大の雇い兵部隊」とやゆしたと紹介。駐イラク英軍の三倍の数にあたる二万一千人の英国人を含め、米国、南アフリカ、ジンバブエ、グルカ(ネパールの部族)出身の「雇い兵」が、数千ドル(数十万円)の日給で活動しているとしています。
民間軍事会社は、特定の国の軍隊や組織と契約を結び、要員を派遣して戦闘行為や軍需物資の補給活動を行わせるなど、正規軍の活動を補完する役割を担っているとされています。イラクでは米英などと契約して活動しています。
英国の民間軍事会社は、職員が警護・警備活動の専門家としての基準を満たしていると説明していますが、元英特殊部隊員のロビン・ホースフォール氏は「正規の訓練を受けた元兵士とナイトクラブの用心棒が一緒に仕事をしている」と証言。「六週間の警備活動の経験だけを資格条件にしているため、極めて限られた経験しかもたない者もいる」と指摘します。
インディペンデント紙は、武装グループが五月二十九日にイラク財務省を襲った事件で、拉致された英国人がカナダの民間軍事会社「ガルーダ・ワールド」の職員であったとし、同社を含む複数の会社が、治安悪化を理由にイラクから手を引こうとしていると述べています。
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