2007年6月6日(水)「しんぶん赤旗」
東南アジア友好協力条約にフランスも入っているの?
〈問い〉 東南アジア友好協力条約にフランスも入っていると最近、聞いて、驚きました。なぜヨーロッパの国がこの条約に加わったのですか? この条約の歴史とめざすものは何ですか?(北海道・一読者)
〈答え〉 東南アジア諸国では戦後、欧米列強による植民地支配から独立した後も紛争が続きました。
他方では1955年、第1回アジア・アフリカ会議(バンドン会議)がインドネシアで開かれ、大国の介入や軍事によらない平和の国際秩序をめざす「バンドン10原則」を採択するなど平和の流れも生まれました。
このなかで67年、東南アジア諸国連合(ASEAN)が設立されました。ASEANは、ベトナム戦争終結の翌年、76年の第1回首脳会議で、基本理念を定めた東南アジア友好協力条約(TAC)を採択しました。
TACは、主権と領土の相互保全、内政不干渉、紛争の平和的解決、武力による威嚇と武力の行使の放棄など、国連憲章の精神と「バンドン10原則」にもとづく、平和、友好、協力の促進を掲げています。
87年のASEAN首脳会議では、域外諸国もTACを尊重し加入できるように改められました。当初、日米同盟を理由に加入を渋った日本も、中国とインドが加入するなかで態度を変え、2004年に加入しました。
欧州連合(EU)は94年、ASEAN地域との協力強化をめざす政策文書を発表。同年にASEAN地域フォーラム(ARF)、96年にアジア欧州会議(ASEM)が発足し、対話と協力を発展させてきました。
EUとASEANの協力を率先してきたフランスは、06年2月の仏・タイ首脳会談でTACへの加入の意思を表明。07年1月、フィリピンでのASEAN首脳会議で欧州初の加入を果たしました。
フランスのコロナ欧州問題担当相(当時)はその際、EUやASEANのような地域組織間の緊密な協力を通じて世界の安定を保証する意義を強調し、加入によってこれに寄与したいと述べました。
TAC加入国は現在、ASEAN10カ国、中国、日本、韓国、ロシア、インド、モンゴル、パキスタン、パプアニューギニア、ニュージーランド、オーストラリア、東ティモール、フランスの22カ国で、世界人口の過半数を占めるまで広がりました。
日本共産党は、TACの広がりを「東アジア全体にひろがる平和の共同体を展望するとりくみ」(24回大会決議)と評価しています。(米)
〔2007・6・6(水)〕