2007年6月12日(火)「しんぶん赤旗」
消えた年金・天下り自由化
政府の責任問う
NHK「日曜討論」 フジテレビ系番組
小池政策委員長
日本共産党の小池晃政策委員長は十日、NHK「日曜討論」とフジテレビ系「報道2001」に出席し、年金と天下りの問題について各党代表と討論しました。
「消えた年金」―新たな千四百万件は五千万件と合わせて調査を
「消えた年金」問題では、未統合の五千万件の年金記録とは別に、コンピューターに未入力の古い記録が千四百三十万件あることが、最近新たに発覚しました。
「報道2001」で自民党の茂木敏充筆頭副幹事長は、五千万件処理のためのコンピュータープログラムをつくるのに最低でも四、五カ月かかると発言。小池氏は「五千万が終わった段階で一ヤマ越えたら、次に千四百三十万件のヤマがある。そういうやり方じゃだめだ。プログラムを作るまでに数カ月ある。それまでの間に千四百三十万件を五千万件と照合して、データをコンピューターに入力して、それから新しいコンピューターソフトで照合すればいい。なぜやらないのか」と指摘しました。
「日曜討論」で自民党の片山虎之助参院幹事長は「数字が大きいから大変な被害があるかのようにいわれるが、大きな実害はない」と述べました。小池氏は「数字の大小ではない。たとえ一人でも被害はあってはならない」と指摘したうえで、「千四百三十万件の中に解決済みのものがいくつあるのかすら、政府は示さないではないか」と批判しました。また、五千万件の記録確認を一年以内に完了するなどの政府の対応策について、「コンピューターの記録のうち氏名・性別・生年月日が一致したものだけをチェックするだけ。未入力の記録があるのに名簿も整理しない。しかも三年後には社会保険庁を解体し、責任まで“分割・民営化”する。これではあまりにも無責任だ」と述べました。
いちばんの責任は厚労相に
責任の所在について、片山氏は「社会保険庁の労働慣行には組合の意向が強く反映し、サービス向上も労働強化につながるから全部反対という基本的な体質がある」などと述べました。
小池氏は、日本共産党が、そうした自治体労働組合のあり方を以前から厳しく批判してきたことを明らかにしつつ、「現場の労働者、労働組合がすべて悪いというのは無責任だ。いろいろな問題が起きたときに『社員が悪い』ではすまない。厚労相と政府の責任だ。そこにメスが入るような解明の仕方でなければ、何の解決にもならない」と指摘しました。
年金制度そのものについても議論になりました。与党の「百年安心」の看板が崩れていることを追及されると、片山氏は「財源はどうするのか」と述べました。
小池氏は「財源の問題を与党がうんぬんする資格はない」と反論。五年前、基礎年金の国庫負担を二分の一にするためといって、公明党の提案で実施した年金課税の強化と定率減税の廃止で二兆八千四百億円の増税がされたが、基礎年金に回ったのは五千百億円にすぎないことを指摘しました。
天下り規制―関係ある企業・法人に行けない仕組みを
天下りを自由化する国家公務員法改悪案にかかわり、片山氏が中央官庁の早期勧奨退職制度について説明。「キャリア(高級官僚)を全員一律にえらくできないので、適材を局長や次官にしたら同期の人は早めに辞めてもらう」として、この再就職の際のあっせんのために「新人材バンク」が必要だと述べました。
小池氏は「民間企業では同期や後輩が自分より出世しても、みんながんばっている。キャリアは耐えられないほどひ弱なのか」と痛烈に批判。「辞めたい人は辞めればいい。再就職先はハローワークで探せばいい」と提起しました。また、現在は官庁を辞めてから二年間は密接な関係のある企業等への就職ができないことになっていますが、小池氏は「二年という枠を取り払い、そもそも密接な関係にある企業・法人には行けない仕組みをつくることが、何よりも合理的、実効性のある天下り規制だ」と主張しました。
国家公務員法改悪案の審議について片山氏は「毎日やろう」などと発言。小池氏は「参議院ではこの間、参院改革の議論を進め、重要法案については最低二十日間審議時間を確保すると全会派一致で合意してきた。それを踏みにじって、官邸が強引に法案を送ってきた。それに参院与党が迎合し、押し通すなどということをすれば、参院の与党が自ら参院の存在意義を否定することになる。そんなことは絶対に許されない」と述べました。
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