2007年6月15日(金)「しんぶん赤旗」
自衛隊による国民監視
違憲・違法の活動中止を
抗議集会に194団体570人
“暴走許さない” 決意新た
志位委員長が報告
「戦前・戦中の憲兵政治の復活は許さない」。参加者で満杯になった会場は、怒りの熱気にあふれました。日本共産党が呼びかけた「自衛隊による違憲・違法な国民監視活動についての報告・抗議集会」が十四日、東京都千代田区の憲政記念館で開かれました。全国各地から平和団体、法曹関係、学者や宗教者など広範な百九十四の団体、市民五百七十人が参加、「国民を敵視する違法な監視活動をただちにやめよ」と糾弾しました。日本共産党の志位和夫委員長が、自衛隊情報保全隊による国民監視活動の問題点などについて報告しました。
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報告で志位氏は、参加者にお礼をのべたうえで、六日の記者会見で国民監視の実態を示す内部文書を公表して以来、全国各地で大きな怒りの声が広がり、マスメディアでも厳しい批判がおこっていることを紹介。あらためて問題点を三点にわたり指摘しました。
第一は、国民監視それ自体が、憲法で保障された国民の自由な言論や活動に、圧力をかけ、脅かし、委縮させるということです。(1)強大な軍事力をもつ自衛隊が、(2)身分を隠し、集会やデモにまぎれこみ、(3)国民の行動を詳細に監視、記録し、膨大な個人情報を集積していた――。志位氏は、憲法二一条の集会・結社、言論・出版、表現の自由、同一九条の思想・信条の自由など憲法が保障する基本的人権を根本から蹂躙(じゅうりん)するものだと告発しました。
第二は、監視の対象が、自衛隊や政府に都合が悪いと仕分けした国民のあらゆる活動、なかには、年金や医療費などおよそ自衛隊とは無関係なものにまでおよび、「反自衛隊活動」などとレッテルをはり、「敵」とみなしていることです。志位氏は「『文民統制』を根本から崩壊させ、『軍による文民にたいする統制』に置き換える動きだ」と批判しました。
第三は、内部文書の存在を否定できないところに追いつめられた政府・防衛省が「何が悪い」などと居直り、ごかまし、隠ぺいで乗り切ろうとしていることで、志位氏は「どれも国民には到底通用するものではない」と厳しく批判しました。
「この問題を、中途半端にするわけにはいかない」と力を込めた志位氏は、国民監視は過去の一時期の問題ではなく、現在進行形で続いており、いまなら憲法改定や「消えた年金」についての活動が監視されていることも十分考えられると強調。国民監視の真の目的は、いざというときに有事法制を発動し、国民の反対を鎮圧するためであり、「それ以外に目的は考えようがない」とのべました。
志位氏が最後に、戦前・戦中の「憲兵政治」復活は絶対に許しがたいとし、「政治的な立場の違いをこえて国民が共同を広げ、無法をやめさせるまで力をつくそう」と訴えると、参加者は大きな拍手で応えました。
怒りの声次々 15氏発言
集会では、情報保全隊文書に活動が記載された個人・団体の代表や各界各層から十五人が発言しました。
監視対象にされていた人たちは、「平和を願っておこなったデモを敵視していたことは許せない」「委縮して集会に参加できなくなる。糾弾したい」と口々に怒りを表明しました。
「写真を撮って何が悪い」などと居直る久間章生防衛相を「報道機関と軍事権力の違いもわかっていない」と批判する声も。「たたかいを広げ、違憲・違法な国民監視を中止させるまでおいつめたい」という発言には、会場から大きな共感の拍手が起きました。
自衛隊の文民統制についても、「国民こそが国・自衛隊を監視することの大切さを再認識した」などと発言がありました。
閉会のあいさつで、志位委員長は参加者、発言者にお礼を述べたうえ、「日本国民のなかに勇気をもって平和と民主主義を守り抜こうという理性と良識が本当に豊かに波打っていることが示された集会だった」と強調。「国会は真相究明と責任追及を徹底的に果たす責任を負っている」として、関係者の国会招致など他党とも協力して解決に力を尽くす決意を述べました。
集会には民主党の平岡秀夫衆院議員が訪れあいさつ。横路孝弘衆院議員、社民党の保坂展人衆院議員がメッセージを寄せました。
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