2007年6月16日(土)「しんぶん赤旗」
北朝鮮資金 送金始まる
非核化へ合意履行を
6カ国協議参加国が要求
マカオ金融管理局の報道担当官は十五日、同地の金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連資金が、マカオから米連邦準備制度理事会(FRB)傘下のニューヨーク連邦準備銀行に届いたことを明らかにしました。今後、ロシア中央銀行を経て同国の民間銀行にある北朝鮮関連口座に入金される予定です。(面川誠)
北朝鮮が非核化措置履行の前提としてきた資金問題が解決する見通しとなったことを受け、六カ国協議の参加各国は相次いで北朝鮮に対し、核施設の活動停止・封印など、二月十三日の六カ国協議で合意した「初期段階の措置」の履行を急ぐよう求めました。
スノー米大統領報道官は十四日、「われわれは北朝鮮が二月十三日の(六カ国協議の)合意を履行することを期待している」と表明。ロシア首席代表のロシュコフ外務次官は十四日、初期段階措置が履行されれば八月か九月に六カ国協議の外相会合が開かれるとの見通しを語りました。
六カ国協議の米首席代表を務めるヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は十八日から二十日にかけ、中国、韓国、日本を歴訪、初期段階措置の履行と六カ国協議再開に向け、各国高官と意見を交換します。
北朝鮮は四月二十日に国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長に書簡を送り、「BDAに凍結されている資金が実際に解除されたことが確認され次第、直ちにIAEA事務代表団を招請し、二月十三日の合意による寧辺核施設の稼働中止とそれに対する検証監視手続き問題を討議する準備ができている」と言明しています。
初期段階措置は当初、二月十三日の六十日以内に完了するとしていました。しかし、北朝鮮は資金返還から六十日と主張しており、八月中旬が期限。初期段階の次は、北朝鮮の核開発の「無能力化」や米朝・日朝国交正常化などが課題となります。
韓国首席代表である外交通商省の千英宇・朝鮮半島平和交渉本部長は十五日、「今後は非核化という本来の課題に入ることになる。この課題はBDAよりはるかに難しい」と語っています。
米財務省は二〇〇五年九月、BDAを北朝鮮によるマネーロンダリング(資金洗浄)に便宜を図った疑いがある金融機関に指定し、米金融機関との取引を禁止。これを受け北朝鮮関連資金約二千五百万ドル(約三十億円)が凍結され、これに反発した北朝鮮は非核化措置の履行を拒否してきました。
初期段階の措置 二月十三日の六カ国協議で、二〇〇五年九月の共同声明履行のために合意した措置。六十日以内に、北朝鮮が核施設を活動停止・封印し、国際原子力機関(IAEA)による査察再開を受け入れる一方、五カ国は北朝鮮に重油五万トンに相当するエネルギー支援を実施。また三十日以内に、▽米朝国交正常化▽日朝国交正常化▽朝鮮半島の非核化▽経済・エネルギー協力▽北東アジアの平和・安全メカニズム―の五つの作業部会を開催。初期段階措置実施後に北東アジアの安保協力のため閣僚会議を開くとしています。
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