2007年6月17日(日)「しんぶん赤旗」
07参院選 いまこそ必要なたしかな野党
政治動かす議席
共産党、草の根の力と連携
日本共産党の国会議員は衆院・参院合わせて18人。国会の中では少数です。しかし、国民の願いに心を寄せ、草の根の力と連携して、現実の政治を動かす大きな働きをしてきました。偽装請負問題などの例でみると―。
偽装請負
追及“見ごたえあった”
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「日本共産党の市田忠義議員がおこなった『偽装請負』に関する追及は見応えがあった」「政府側の答弁は、あまりにも形式的でぬるすぎる」―「産経」(二〇〇六年十月十九日付)のコラムで、評論家の勢古浩爾氏はこう評価しました。
市田書記局長の質問(〇六年十月、参院予算委員会)は、「ワーキングプア」と呼ばれる劣悪な労働条件で働く人々が激増している背景に偽装請負問題があることを告発し、違法な請負を受け入れた大企業の責任を追及したもの。テレビで質問を見た人から「働くものの実態を取り上げてくれて感動した」など、反響が相次ぎました。
本当は「派遣」なのに「請負」と偽って働かせる「偽装請負」。受け入れ企業は労働者にたいして労働安全衛生上の責任・義務を一切負わず、「契約解除」の一言で好き勝手に解雇もできるというものです。社会的な大問題になっているこうした法律違反の「働かせ方」に日本共産党は早くから着目し、国会質問で取り上げてきました。
一九九九年には寺前巌衆院議員(当時)が、日本IBM藤沢工場の実態を告発。二〇〇三年には小池晃参院議員が、ニコン熊谷工場で過労自殺した請負労働者の問題を取り上げ、政府に指導の強化を求めました。国が公式に法律違反だと認めたのは初めてでした。
国会での追及が現場を励まし、勇気をもって告発する労働者が相次ぎました。トヨタ系自動車部品メーカーの徳島・光洋シーリングテクノでは、〇四年九月に労働組合を結成し、直接雇用を求めるたたかいを開始。日本共産党国会議員団は、現地調査や国会質問、厚労省との交渉を繰り返し、現場の声を政府・国会につなぎました。このたたかいが企業を動かし、〇六年九月に労働者五十九人の直接雇用が実現。他の企業の非正規労働者たちに希望を広げました。
日本共産党の追及と労働者の運動は、厚労省に偽装請負の防止、解消にむけた「通達」を二回にわたって出させました。
サービス残業
質問300回超、是正通達
残業させても割増賃金を支払わないただ働きの「サービス残業」。日本共産党は、一九七六年に沓脱タケ子参院議員(当時)が初めて国会で取り上げて以来、繰り返し政府を追及。質問は三百回を超え、群を抜いています(グラフ)。二〇〇〇年三月には、「サービス残業根絶法案」を国会に提出しました。
〇一年四月、厚労省は都道府県の労働局長あてにサービス残業解消にむけた通達を出しました。企業に労働時間を管理する責務があることを明記した、画期的な内容でした。通達が出た直後、厚労省が国会議員団に「共産党の主張や法案(の内容)は全部入れたから、もう国会でサービス残業の論戦はやめてください」と訴えるほどでした。
現在も“残業かくし”をする企業に対し、職場からの告発で実態をつかんで追及を続けています。是正させた不払い残業代は、五年間で八百五十億円を超えました。
サラ金問題
被害者“壁つぶしてくれた”
二百数十万人以上の多重債務者を生み出しているサラ金の超高金利の問題では、〇六年十二月、問題の温床である「グレーゾーン(灰色)金利」を廃止する貸金業規制法の改正が実現しました。サラ金被害者や市民団体、弁護士などによる幅広い運動と国会での奮闘による成果です。
ここにいたるまでには業界関係議員の巻き返しでグレーゾーン温存の危険も生まれていました。日本共産党はただちに「高金利引き下げ対策チーム」(責任者=大門実紀史参院議員)を結成。業界から献金を受けた安倍内閣の閣僚らの名前と金額を公表し、国民の批判を恐れる与党の判断に影響を与えました。また、借り手の自殺で保険金が出る「命が担保」の生命保険の実態を示して、禁止に追い込みました。
被害者団体の関係者は「共産党の質問は、多重債務者の救済でぶつかる壁を一つひとつつぶしてくれた」と語りました。自民党の若手議員からは「共産党の活動は大きな影響を与えましたよ。ありがとう」との感謝も寄せられました。
力発揮できるのは
自民政治 根本から正す
日本共産党がこのような力を発揮できるのは、企業・団体からの献金を一切受け取らず、アメリカいいなりや大企業中心の異常な自民党政治を根本からただす方針をもっているからです。
また、日本共産党は全国で四十万人の党員、二万四千の支部をもち、どの党よりも深く国民と結びついて活動しています。全国各地の党事務所で生活相談活動に取り組み、サラ金問題では「役所に相談に行ったら、共産党に行きなさいといわれた」といって相談に来る人が少なくないなど、信頼が広がっています。
「国民の苦難あるところ、日本共産党あり」の精神で国民の側に寄り添い、現場に足を運んで生の声を国政に届ける―国民の運動と連携して政治を動かす力をもっている日本共産党の議席が増えれば、さらに大きな力を発揮することができます。
偽装請負をめぐる主な動き
1999年5月 寺前巌衆院議員(当時)、労働委員会で違法派遣の実態を告発
6月 改悪労働者派遣法が成立
(派遣の対象業務を一部を除き自由化)
2003年5月 小池晃参院議員、厚生労働委員会で偽装請負への規制強化を迫る
6月 改悪労働者派遣法が成立
(製造現場への派遣を解禁)
2004年
9月 トヨタ系自動車部品メーカー「光洋シーリングテクノ」の請負労働者が組合結成
2006年9月・「光洋シーリングテクノ」の請負労働者59人の直接雇用が実現
・厚労省が都道府県の労働局長あてに通達(偽装請負を防止・解消するため、指導・監督の強化を指示)
10月・大手請負会社「コラボレート」に偽装請負問題で初の事業停止命令
・市田忠義書記局長、参院予算委員会で違法な請負を受け入れた大企業の責任を追及
11月・松下プラズマディスプレイの請負労働者約360人が直接雇用に
・日亜化学(徳島)で請負労働者1600人全員の直接雇用が決まる
2007年3月・厚労省が偽装請負で都道府県労働局長に2回目の通達(偽装請負の是正方法として派遣への切り替えを認めず、労働者の直接雇用を指導)
・キヤノン、派遣社員と請負労働者3500人を直接雇用に切り替える方針を明らかに
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