2007年6月19日(火)「しんぶん赤旗」

列島騒然

住民税増税 一体誰のせい


 六月からの住民税増税にたいする怒りの声が、日本列島に渦巻いています。誰が庶民にこんな大増税を押し付けたのでしょうか。(山田英明)


定率減税 自公が全廃

公明党が旗振り役に

 六月から住民税が大幅に増えました。国(所得税)から地方(住民税)に税金が移ったため、所得税は一月に減りました。それでも増税になっているのは、定率減税が全廃(所得税は一月、住民税は六月)され、年一・七兆円もの増税が一気に表面化したからです。

 所得税・住民税の定率減税は一九九九年度税制「改正」で、「景気対策」の一環として大企業減税(法人税率引き下げ)や大金持ち減税(所得税の最高税率引き下げ)とともに導入されました。

 しかし自民、公明両党は、大企業減税と大金持ち減税はそのままにし、定率減税だけを二〇〇五年度税制「改正」で半減(実施〇六年)し、〇六年度税制「改正」で、とうとう全廃(実施は〇七年)してしまったのです。

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 住民税の増税が、国民健康保険料に影響する自治体もあります。昨年実施された所得税の定率減税の半減は、一部の自治体で、保育料の引き上げを招きました。

 定率減税縮減・廃止の旗を振ってきたのは、公明党でした。

 同党は、〇三年の総選挙に掲げた「年金百年安心プラン」で基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げるための財源確保を口実に、増税を打ち出しました。公明新聞〇三年十月号外は、「必要な約二兆七千億円は、定率減税を三段階で廃止し約二兆五千億円、一部の高額所得者への年金課税で約二千億円を確保します」と明記しました。

 自民党も公明党との協議の末、「〇四年度税制改正大綱」に、〇五、〇六年度に定率減税の縮減・廃止を実施することを明記します。「いいだしっぺ」の公明党が「増税戦犯」(東京新聞〇四年十二月十六日付)と呼ばれるゆえんです。

 定率減税全廃や高齢者の年金課税強化による増税は“公約”どおり実施されてきました。ところが、その増収分二兆八千四百億円(平年度ベース)のうち、基礎年金の国庫負担引き上げのために使われた財源は約五千百億円、引き上げに必要な額の約二割にしかすぎません。これで、どこが「年金百年安心」でしょうか。

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共産党 当初から告発・反対

「戻し税」で国民に返還を

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(写真)パネルを示しながら質問する志位和夫委員長=2005年2月3日、衆院予算委員会

 「(定率減税半減など)増税路線への踏み出しは、風邪と診断しておいてふとんをはぐようなもの」「雪だるま式の負担増になる」―。日本共産党の志位和夫委員長は、二〇〇五年二月三日の衆院予算委員会で小泉純一郎首相(当時)をこう追及しました。

 志位氏はこの質問で、「家計の所得が減っている時期に、増税路線に踏み出したことが、戦後一度でもあったのか」と、定率減税半減・廃止が暮らしと経済を破壊することを指摘。さらに高齢者の年金課税強化、低所得高齢者の非課税限度額廃止による増税が、国保料などの雪だるま式負担増を招くことを、告発しました。

 〇六年十月六日の衆院予算委員会の総括質問でも「耐え難い負担増だ」と、高齢者を襲った雪だるま式負担増を追及した志位氏。負担増の実例をグラフで示しながら、「『大企業に減税、庶民に増税』というやり方をあらためるべきだ」と、安倍首相に迫りました。

 しかし、自民・公明内閣は「景気には配慮している」「負担の部分ばかりいうが、福祉をやっていないという批判は当たらない」(小泉首相・当時)「負担の公平が大事だ」(尾身幸次財務相)などとの居直りに終始してきました。

 日本共産党がくりかえし警告し、増税中止を求めたにもかかわらず、自民・公明政権は定率減税の全廃を決定。六月からの住民税増税を目前に控えた五月七日、日本共産党の市田忠義書記局長は「勤労者の給与が減少している。この大増税が実施されれば、くらしも営業も景気もさらに悪化する」として、「六月からの住民税増税の中止を求める緊急署名」に取り組むことを呼びかけました。今、全国各地の支部が同署名に取り組んでいます。

 日本共産党は十五日に発表した参院選政策のなかでも「貧困と格差をただす三つの転換」の一つの柱として、「税・財政の転換」をかかげ、「庶民に増税、大企業・大金持ちに減税」という「逆立ち」税制をただし、血税のムダ遣いをなくす方向を明らかにしています。

 この中で、六月の住民税増税で、すでに実施された増税分については、「戻し税」方式で国民に返すことを要求。その財源は、「大企業や大資産家への減税を中止すれば十分」確保できるとしています。



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