2007年6月20日(水)「しんぶん赤旗」
「消えた年金」・自衛隊の監視活動
志位委員長が語る
CS放送
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日本共産党の志位和夫委員長は十九日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」に出演し、「消えた年金」、自衛隊による国民監視問題について、朝日新聞の早野透編集委員の質問にこたえました。
与野党共同で知恵をしぼるべき
「消えた年金」問題ではまず、早野氏が「誰に責任があるのか」と問うたのにたいし、志位氏は、一番の責任は、「宙に浮いた」年金記録の存在を知っていながら抜本的な対策をとらず、国民にも知らせてこなかった歴代厚生労働大臣にあると指摘。さらに、今年二月に五千万件の問題が明らかになっても、安倍首相がこれを軽視していた点では、首相の直接の責任が問われるとのべました。
早野氏は、自民党幹部も「共産党以外はみんな責任がある」とのべていることに言及。志位氏が、「そういう点では、各党とも襟をただして責任を持った対応をおこなう、与野党が協力して知恵をしぼってやる必要がある」とのべると、早野氏も「確かにその通りなんだろう」と応じました。
その上で、テーマは今後の対応に。早野氏は「議論が堂々巡りでこんがらがっているが」とのべました。
“一億人レター作戦”を
志位氏は、日本共産党が五項目の要求を出したことを紹介し、「なにをさておいてもまずやるべきことは、現在、政府が把握している年金の納入記録を一億人の加入者・受給者全員に通知すること。きちんとつながった方は安心するし、つながらなければ申請できる」と指摘。この“一億人レター作戦”をすぐやるべきだと強調すると、早野氏は、「全員について。なるほど」とのべました。
さらに要求の残る四点として、▽「宙に浮いた」年金記録の「突き合わせ」では、一件残らず持ち主に返すこと▽物証がなくても本人の申し立てを尊重すること▽手書きの台帳のコンピューターへの移し替えは、膨大な数にのぼるが、同時並行でおこなうこと▽社会保険庁の解体はやめて、国の責任で問題を処理すること―をあげました。
早野氏は政府が設置を決めた「第三者委員会」について、「一工夫といえるか」と質問。志位氏は、「いろいろな仕掛けがありうるが、どういう精神で判定するかが大事。本人の申請を尊重する立場で運営するのか、それとも国民に立証責任を負わせる立場を取るのか、これをはっきりさせなければ、いろいろな機関をつくっても、国民の不安は解消されない」と強調しました。
志位氏は、“一億人レター作戦”、「宙に浮いた」年金記録の「突き合わせ」、手書き台帳のコンピューターへの移し替えの三つすべてを同時並行でおこなうべきだと主張。早野氏の「社保庁を残したままでできるか」との問いには、「社保庁を解体すれば、国が責任を持つべき仕事が民間任せになり、責任が宙に浮いてしまう。コムスンが大問題になっているが、介護に株式会社というもうけ本位の企業を持ち込んだところに根がある。社会保障を営利企業任せにすれば、責任を持ったものにならない」と指摘すると、早野氏は「そういう意味では国のありかたについての根本的な問題を提起している」とのべました。
自衛隊の国民監視活動―防衛大臣の開き直りは許せない
自衛隊による国民監視問題では、早野氏も取材した十四日の「抗議・報告集会」が話題となり、政府の対応に関し、次のようなやりとりに。
志位 集会でも、自衛隊がやっていることだけでなく、(防衛相は)否定しきれなくなったら「何が悪い」と開き直っている、これで怒りに火がついたという発言もあった。
早野 (防衛相が)「報道陣も写真をとっているじゃないか」なんて、一緒にしてもらったら困る。
志位 (報道陣と)軍事権力のとる写真では全然意味が違う。
早野 しかもこっそりで。こちらは名乗ってやってる。
志位 開き直るということは今後もやりますよということ。これを許したらエスカレートする。軍の行動のエスカレートは、戦前の教訓だ。
共産党の前進で改憲策動に痛打を
早野氏は、「自衛隊の問題も憲法にかかわる問題」としつつ、安倍首相は年金問題での対応で、改憲どころではなくなっているようだが、とのべました。これにたいし志位氏は、与党が改憲をマニフェストの中心に据えている事実を示し、「危険性がなくなったわけではない。むき出しの暴走はけっして軽視できない問題であり、私たちは今度の選挙で、憲法改定に反対する論陣を大いに張って、共産党の前進で改憲策動に痛打を与えたい」と強調しました。