2007年6月25日(月)「しんぶん赤旗」

主張

住民税

給与明細の“怒り”を自公に


 きょう二十五日に、多くの会社員の方が給与明細を受け取ることと思います。その給与明細を、ぜひ先月の明細と見比べてみてください。

 「異変」が起こっています。住民税が倍近くに増え、手取りが減ったという大きな「異変」です。

1・7兆円の大増税

 政府は二十三日の新聞広告で、所得税から住民税への税源移譲だから負担は「変わりません」と説明しています。その後に「なお」として、定率減税廃止で税負担が生じると小さな文字で付け加えています。

 増税は付け足しの説明で済むような小さな規模ではありません。

 ことし一月に、定率減税の全廃で所得税が一・三兆円増税されましたが、税源移譲で所得税が減った影響の陰に隠されました。定率減税全廃による増税は所得税と住民税を合わせて一・七兆円に上ります。今回の住民税増加の総額は三・四兆円ですから、大ざっぱに見て、一人ひとりの住民税増加額の半分程度が、ことしの所得税・住民税の合計の増税額に当たる計算です。

 政府は昨年、定率減税を半減し、ことしは残り半分の全廃を強行しました。昨年とことしの定率減税廃止の総額は三・三兆円に達し、ちょうど今回の住民税増加の規模に匹敵します。一人ひとりの住民税の増加分の重みで、二年分の定率減税廃止の全体のおおよその重さをはかれます。

 これは、一九九七年の消費税率引き上げ以来、十年ぶりの大規模な庶民増税です。

 税源移譲そのものも負担が変わらないどころか大幅な負担増が発生しています。住民税は前年の所得をもとに計算するため、去年は一定の収入を得ていた人が、ことしは失業などで収入を大幅に減らしたような場合、住民税の増加だけがふりかかります。税源移譲で「増税」になる人は数百万人に上るとみられます。こうなることは政府も分かっていたため救済措置を設けましたが、ほとんど周知の努力をしていません。

 「増税ではない」という政府の宣伝は国民を欺くごまかしです。

 「ごまかし宣伝」を強く主張したのは公明党です。一月の政府与党連絡会議で公明党の井上義久副代表が「特に六月から上がる住民税について、これは“一月から所得税が下がった分の住民税の引き上げである”といった説明をしっかりしていくべきである」と発言しています。

 公明党は率先して定率減税廃止を推進し、一般紙に「増税戦犯」と書かれた政党です。これは最近も、週刊誌が「皆さん!定率減税『全廃』は公明党のおかげです」(『週刊新潮』六月二十八日号)と書くほど明白な事実です。「ごまかし宣伝」は、この事実への国民の批判を恐れた結果です。

 定率減税廃止は「庶民に増税、大企業と大金持ちに減税」という「逆立ち税制」の一環です。安倍内閣はことし、大企業・大金持ち向けに減価償却制度の見直し、証券優遇税制の延長で新たに一・七兆円の大減税を実行しました。定率減税全廃の庶民負担増でまかなったも同然です。

増税反対のたしかな党

 日本共産党は、住民税の増税を中止し、すでに徴収した分は戻し税方式で国民に返還するよう求めています。くらしの実態を考えれば当然の措置ですが、最大野党の民主党は政策の柱に立ててさえいません。

 大企業・大金持ち減税を見直し、「逆立ち税制」を正せとはっきり言える日本共産党だからこそ、庶民増税反対のたしかな旗を立てることができます。



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