2007年6月26日(火)「しんぶん赤旗」

イラク政策修正示唆

英与党労働党

党首にブラウン氏


 【ロンドン=岡崎衆史】英与党労働党は二十四日、中部マンチェスターで特別党大会を開き、ブラウン財務相(56)を新党首に選出しました。無投票当選でした。ブラウン氏は選出後の就任演説で、イラク政策の修正を示唆するとともに、テロとのたたかいでの軍事偏重を退ける姿勢を示しました。


 ブラウン新党首は二十七日に退任するブレア首相の後継首相に就任します。労働党大会はまた、ハーマン法務担当閣外相を副党首に選出しました。

 ブラウン氏は、ブレア首相が国民の反発を招き辞任を余儀なくされたイラク問題について、「イラク(問題)がわが党と国民の分裂を招いたことを認める」「学ばなければならない教訓を学んでいく」と表明しました。ハーマン新副党首も演説で、「イラク(問題)が引き起こした怒りと分裂を認めるよう求められてきたが、私たちはそれを認める」と発言しました。ハーマン氏はこれまでイラク戦争支持に国会で投票したことを後悔し、党として国民に謝罪するよう求めていました。

 イラクへの英軍駐留について、ブレア首相は、駐留規模を秋までに五千人未満にする削減方針を発表していますが、完全撤退の期限は設定していません。ブラウン氏も今のところ、撤退期限明示を否定しています。しかし、与党への支持を取り戻すためイラク政策の大胆な転換を進める可能性もメディアや専門家から指摘されています。

 一方、テロや過激主義とのたたかいについて、ブラウン氏は「テロや過激主義を孤立化し、これに勝利するためには軍事以上のものが必要だ」と表明。「国内と世界で人々の心をつかむことに勝利する主義や理想のたたかい」が重要だと位置づけ、軍事一辺倒を否定しました。また、「不公正の根源に対処する」として、貧困や疾病、環境破壊を解消するため、国際援助や債務帳消しなどに取り組むことを約束しました。

 パレスチナ問題では、「二国併存による解決を支持する」と述べ、イスラエルの安全保障とパレスチナ国家建設の双方を重視する姿勢を示しました。

 ブラウン氏はまた医療や教育問題などに優先的に取り組む方針を強調するとともに、温暖化対策に積極的に取り組む姿勢を示しました。

 二十四日付英紙オブザーバーに掲載された世論調査によると、労働党の支持率は前月よりも4ポイント増の39%で、前月比1ポイント減で36%の最大野党保守党を上回りました。労働党が保守党の支持率を上回ったのは八カ月ぶりです。また、首相として最も有能な人物としても、40%がブラウン氏を挙げ、22%のキャメロン保守党党首を引き離しました。



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